淡路

  • 印刷
午後2時半、宿泊客を笑顔でもてなすフロントの久保沙紀さん(左)=ホテルニューアワジ
拡大
午後2時半、宿泊客を笑顔でもてなすフロントの久保沙紀さん(左)=ホテルニューアワジ
午後4時、調理場では手際よく夕食の刺し身を盛り付けていく=ホテルニューアワジ
拡大
午後4時、調理場では手際よく夕食の刺し身を盛り付けていく=ホテルニューアワジ
午前11時半、大浴場を清掃するスタッフ=ホテルニューアワジ
拡大
午前11時半、大浴場を清掃するスタッフ=ホテルニューアワジ
午後5時半、夕食の準備を終え料理の説明をする吉本遥奈さん(右)=ホテルニューアワジ
拡大
午後5時半、夕食の準備を終え料理の説明をする吉本遥奈さん(右)=ホテルニューアワジ

 「国生みの島・淡路」は、1年で最もにぎわう夏の観光シーズンを迎えた。歴史や文化、食や自然-。観光客が癒やしを求めて宿泊する宿はどのように運営されているのだろう。7月上旬のある日、「ホテルニューアワジ」(兵庫県洲本市)に密着した。(赤松沙和)

 「ホテルニュ~ア~ワ~ジ♪」。関西人なら誰もが耳にしたことのあるテレビCMでおなじみの宿は、同市の洲本温泉郷にある。島内外で15ホテルを経営し、従業員は計1350人。今回訪ねた全117室の同ホテルは、フロントや客室などさまざまな部門に分かれて約300人が働く。

◆早朝

 2階の調理場では、午前5時半から朝食準備を始める。高津浩三料理長(57)をはじめ、和食と洋食の計25人ほどで担当。配膳台に並べられた皿に手際よく盛り付け、500人分の料理をわずか2時間ほどで準備する。

 朝食の用意が進む間に、客室係が次々と出勤。1人につき2、3部屋を担当する。岡山県出身、入社3年目の吉本遥奈さん(21)は「いらっしゃいませからさようならまで、滞在中に最も近くでお客さまと接することができるのが客室係のいいところです」と話す。

◆午前10時

 フロントではチェックアウトを済ませた宿泊客が、笑顔でホテルを後にする。吉本さんらが玄関先で手を振って見送る間にも、次々とチェックアウトや日帰りのチェックイン、この日宿泊する客が荷物を預けにやってくる。常に人の出入りが絶えない巨大ホテル。その一人一人に対応しながら、宿泊者の食事チケットや特典の手持ち花火、誕生日の記念品などをセット。フロントの久保沙紀さん(27)は「チェックイン、アウトのほかにも、観光案内や夕食のお品書きなんかも作ります」。フロント担当は計4人。実は全員英語の猛勉強中。「時には身ぶり手ぶり、気持ちで伝えます」。スマートに案内できる日を夢見ている。

 大浴場の清掃もこの時間。日帰り客向けに正午の再開を目指して、浴場やスパを担当する5、6人で黙々と作業を行う。高圧洗浄機などで、浴場内の床や窓ふき、脱衣場のアメニティーの交換や洗面台の鏡をピカピカにしていく。「気持ちよく使ってもらえるように。ただそれだけですね」

◆午後2時半

 「お客さま到着されました」。ロビーにはこの日の宿泊客が続々と訪れチェックインに並ぶ。久保さんは「忙しい時は気付いたら夜7時なんてこともしょっちゅうです」と笑う。

 吉本さんはこの日、家族連れや結婚記念日のカップルなど数部屋を担当。部屋まで案内し、お茶出しと館内説明を終えるとまた次の客を迎えにフロントへ。笑顔を絶やさないが、一息つく暇はない。

 そのころ、調理場でも夕食の準備が進んでいた。前菜や旬の魚の豪華な刺し身、鯛のあら煮などがどんどん盛られていく。満室時に宴会が重なれば700食を一斉に調理するという。「なるべく地産地消でおいしく食べてもらいたい」と高津さん。「ハモが苦手」「乳製品のアレルギー」といった個人の情報に合わせて細かくメニューを変える。

◆午後5時

 お弁当で早めの夕食を済ませた吉本さんは、京都から訪れた4人家族の部屋から夕食の準備を開始。「プールに行ってこられたんですか」「はい、でもちょっと寒かった」。談笑しながらもてきぱきとセッティングし、料理の説明をしてスタッフルームへ。ここでは随時、客室係がそれぞれの部屋に出す食事を調理場から運んで待機。予約プランを頭に入れ、食べる速さに合わせてタイミングよく次の料理を出さなければならない。「満室時の夏休み期間はもっと大変です」

 新人の江原寧音さん(18)さんも奮闘。吉本さんら先輩に、何度も器の向きや料理名を確認していざお客さまのもとへ。食前酒の蔵元を聞かれて答えに窮したが、なんとか乗り切った。「めちゃくちゃ緊張しました」とほっとするのもつかの間、飲み物の注文や別の料理の用意に追われた。

◆午後9時

 「お布団の用意お願いします」。最後の部屋の片付けを終え、寝具係に連絡したのは午後9時すぎ。若手社員の多くは近くの社宅から通う。吉本さんは「またお姉さんに会いに来るねと言ってくれるとうれしい。自分らしい接客ができるから私には合ってるかな」とほほ笑み、1日を終えた。

淡路の最新