今年に入り、兵庫県南あわじ市内でサルの目撃情報が絶えない。人的被害の届けはないものの、灘地区などでは農作物の被害が続いており、同市は20、21日、灘地区と賀集地区に群れごと捕獲できる大型の囲いわなを設置し、集中捕獲作戦を始めた。サルを捕まえることができれば、淡路県民局が一部のサルに衛星利用測位システム(GPS)を取り付け、生態調査にも乗り出す。(高田康夫)
灘地区では特産のビワやミカンについて、以前から被害があった。農家の高齢化が進む中、被害に遭って栽培自体を放棄するケースも出ている。今年に入ってからは出没情報が多発し、灘地区だけでなく、西の津井地区や、北の山添地区など市内全域に広がる。
中でも目撃情報が多いのが賀集地区だ。賀集小では5月に目撃された。新型コロナウイルスの影響で休校中だったため大事には至らなかったが、同地区の高齢者施設では6月下旬から毎日のように出没し、ベランダを走り回る。施設側も入り口の自動ドアを手動に切り替えるなど対応に追われているという。
同市は同県朝来市の業者が開発し、全国でも導入が進む大型囲いわなを賀集地区と灘地区に設置。市内ではこれまでも小さなわなでサルを捕まえてきたが、今回は上から飛んで入れば、設置されたパネルに邪魔されて抜け出せなくなる仕組みだ。餌をまいておびき寄せ、特産ミカンの収穫前に一網打尽を狙う。
また、県洲本農林水産振興事務所は本年度、サルの生態調査を初めて実施。今回南あわじ市が設置したわなで群れの中心となるメスザルを捕まえることができれば、GPS発信機を首に取り付けて行動範囲や移動経路を調査・分析し、効果的な被害対策を検討するという。調査に当たり、同事務所はサルに餌を与えないことや、生ごみや収穫した農作物を屋外に置かないことなどへの協力を住民に求めている。
