洲本-深日航路、復活へ実験最終年度 26日から土日祝に運行

2021/06/01 05:30

社会実験に使う旅客船(洲本市提供)

 兵庫県洲本市と大阪府南端の岬町をつなぐ航路の復活を目指す両市町はこのほど、社会実験船「深日(ふけ)洲本ライナー」(定員68人)を本年度、6月下旬から土日祝日に走らせると発表した。国の交付金を受けた3カ年事業。最終年度の昨年、新型コロナウイルス禍で中止している。完了を目指すが、コロナ感染の長期化で緊急事態宣言が6月20日まで延長されることが決まり、逆風下の再開となる。 関連ニュース 海を渡る「国道」を知っていますか 「宇高国道フェリー」「たこフェリー」かつては多彩な船が活躍していました 船で嫁入り「世界でここしかない」 伝統婚礼行事を復活 海飛ぶ船復活、川重総力戦 高速船25年ぶり建造


 両市町間には1949年から99年まで定期航路があり、大阪湾や瀬戸内海を行き来する人々の生活の足だった。98年の明石海峡大橋開通でマイカー移動の利便性が高まり、廃止された。
 社会実験は、2017年度に岬町主体で始まった。18年度から国の地方創生推進交付金を受け、洲本市が加わった。観光ルートの結節点として両地域を活性化する道を探っている。
 18年度は、7月から翌年2月まで毎日運航。天候不順や平日の利用低迷などで1便あたりの乗客は平均8・4人にとどまった。
 このため19年度は、4月から10月の土日祝日とお盆に絞って運航し、1便あたり18・66人だった。
 最終年度の仕切り直しとなる本年度は、6月26日から11月28日までの土日祝日とお盆に、1日4往復する計画。料金は中学生以上1500円、小学生500円、自転車1台300円など。淡路島でサイクリングを楽しむ自転車愛好者や、関西空港を経由する観光客らの利用を想定。事業費は約4350万円を見込み、国交付金と両市町の負担金、乗船料でまかなう。
 実験の終了後は民間委託を目指している。過去2年の実績通りなら採算が取れない可能性が高い。適正な便数や運賃の値上げ額、両市町からの補助金額の見極めが必要になるという。
 当初、大型連休前の4月末からの運航を目指したが、緊急事態宣言の発令でずれこんだ。宣言の延長期間が終わっても県境をまたぐ移動の自粛が続きそうで、洲本市企画課はコロナ禍の推移を注視し、「あらゆる方向性を検討するため1日でも多くデータを得たい。実験開始日の再考も含めて慎重に進める」とする。
 社会実験ホームページhttp://fuke-sumotoliner.com
(吉田みなみ)

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