在宅医療テーマに映画 原作、出演の医師「生き方考えて」 洲本で2作品上映
2021/06/19 05:30
舞台あいさつで、コロナ感染防止の透明板越しに話す長尾和宏医師=洲本オリオン
兵庫県尼崎市で在宅医療を手掛ける長尾和宏医師(62)が製作に関わった映画2作品が、同県洲本市本町5の映画館「洲本オリオン」で上映されている。このほど長尾医師が同館を訪れ、「なかなか目にする機会がない在宅医療の現場を知り、生き方や死に方を考えるきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。
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長尾医師は、無理な延命措置を避ける「平穏死」を提唱。開業する病院で診察に当たる一方、昼夜問わず患者の自宅を回って、痛みを緩和するための治療やみとりを行ってきた。
上映中の作品は、長尾医師の著作を原作とした「痛くない死に方」と、長尾医師の診察風景などを撮影したドキュメンタリー「けったいな町医者」。
「痛くない-」は、在宅医療に従事する医者・河田仁が、末期の肺がん患者を苦しみ続けたまま逝かせてしまった後悔から、在宅医のあるべき姿を模索し始める物語だ。
「けったいな-」は、映画監督らが2019年10月から20年1月まで約3カ月間、長尾医師に同行。病院での診察や患者宅の訪問、長尾医師の日常などを記録した。
舞台あいさつで長尾医師は、平穏死について「体につながる(医療用の)管は1本もなく、最期まで患者と話せる」と説明。「終末期の患者が脱水症状になるのは当たり前。脱水予防にと、最期まで点滴につなぐのは苦痛でしかない場合もある」とも話した。2作品ともリアリティーを追求したといい、「一般の人に限らず医療関係者にも見てもらい、在宅医療に関する活発な議論につなげてほしい」と語った。
上映は22日まで。「痛くない-」は午前10時20分~と午後1時~。「けったいな-」は午後3時40分~。一般1800円など。洲本オリオンTEL0799・22・0265
(吉田みなみ)