障害あっても映画楽しんで レンズに字幕表示するメガネ、音声ガイド

2021/08/12 05:30

映画を鑑賞中、レンズ部分に字幕を表示するメガネ(シネマキャロット提供)

 淡路島内唯一の映画館「洲本オリオン」(兵庫県洲本市本町5)は、耳が不自由な人向けの字幕メガネを導入した。映画の進行に沿って、せりふなどの字幕をレンズ部分に表示する。障害の有無によらず楽しんでもらう「バリアフリー上映」の試み。目が不自由な人には、シーンや登場人物の表情を説明する音声機能をスマートフォンに取り込んでおき、イヤホンで聴くように勧める。(中村有沙) 関連ニュース 山電藤江駅、円形交差点に歩道検討 新改札口設置の駅南に広場 バリアフリー化に合わせ明石市 アウトドアもバリアフリー化を 好日山荘が悪路に強い専用車いす導入 5日、神戸・北区で体験会 元町駅周辺再整備に向け初会合 神戸市やまちづくり団体、識者ら参加 <RE動き出す街>


 字幕メガネは7機導入した。予約者に無料で貸し出す。レンズの字幕とスクリーンの映像を重ねて見られ、邦画など字幕が付いていない映画で聴覚障害者の不便を解消する。
 7機のうち、5機は字幕を配信するアプリ「HELLO!MOVIE(ハロームービー)」に、残り2機は「UDCast(ユーディーキャスト)」にそれぞれ連動する。これらのアプリに対応する映画で利用できる。
 同館では今月4日から、映画好きの住民グループ「シネマキャロット」が企画上映する2作品でサービスを始めた。
 これら二つのアプリは、音声ガイドも配信する。来場者があらかじめスマートフォンにダウンロードしておけば、イヤホンを使って片方の耳でガイドを聴き、もう片方で映画館内の音声を聞ける。視覚障害者が従来よりストーリーを把握しやすくなるという。
 同館を運営する野口仁さん(54)は、「これまで聴覚障害がある人が見たい映画を十分に楽しめなかったり、目が不自由な人に同伴者が周囲に気を使いながら小声で説明したりしていた。気軽に来られるようにしたい」と話す。
 バリアフリー対応の映画「いのちの停車場」は、終末期の在宅医療がテーマ。吉永小百合さん演じる東京の救命救急センター医が、地方の在宅医として再出発し、患者やその家族と向き合う。「37セカンズ」は、脳性まひのため車いす生活を送るヒロインが、過保護な母親から独立し、将来を切り開こうと奮闘する。いずれも一般1800円など。洲本オリオンTEL0799・22・0265

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