淡路

  • 印刷
生前、洲本市の自宅で穏やかな表情を見せる南部清美さん=2020年撮影(武川さん提供)
拡大
生前、洲本市の自宅で穏やかな表情を見せる南部清美さん=2020年撮影(武川さん提供)
南部さんが発行した歌集
拡大
南部さんが発行した歌集
南部清美さんの歌集や掲載された短歌誌を前に、短歌会メンバーらの追悼作品をまとめる島田さん=洲本市
拡大
南部清美さんの歌集や掲載された短歌誌を前に、短歌会メンバーらの追悼作品をまとめる島田さん=洲本市

 今年7月、兵庫県洲本市に住む107歳の女性がこの世を去った。夫が戦死して1人暮らしを続けながら、身の回りの出来事を短歌につづった。その創作意欲は100歳を超えてもやまず、亡くなる前まで新作を詠んだ。短歌を通して交流を深めた島内の仲間たちが、追悼の歌集を制作した。(上田勇紀)

 7月23日に老衰で亡くなったのは、南部清美さん。おいの武川孝夫さん(78)=和歌山県橋本市=によると、南部さんは1914(大正3)年生まれで、洲本市出身。7人きょうだいの次女で、夫が太平洋戦争に出征して戦死してから1人で暮らした。子どもはおらず、晩年はヘルパーの介助を受けて生活し、趣味の短歌に励んでいた。

 南部さんが所属した「新月淡路短歌会」の島田英樹さん(79)=洲本市=は「謙虚で、誰にでも親しく接してくれた。歌も人柄も、かわいらしい方。ファンだった」と惜しむ。ヘルパーに付き添われ、車いすで歌会に出席する南部さんの笑顔が思い浮かぶ。

    ◆   ◆

 南部さんは自身の歌集を発行していた。数ある作品からは、高齢の1人暮らしの心情と日常が、しみじみと伝わってくる。

 夫逝きて子も無き暮しを幾星霜不思議に生きてまた花に逢う(2005年)

 読み飽きし新聞たたみ「さあ何をしようか」外は静かなる雨(同)

 一本のカーネーションなれど晩年の部屋明るめり今日誕生日(08年)

 これと言う病気もせずに九十五年生き来て不意の骨折に泣く(10年)

 NHK全国短歌大会で秀作に選ばれるなど、その実力は確かだった。短歌グループを通じ、神戸新聞淡路版への投稿も続けた。本紙データベースを検索すると、南部さんの名前で100首以上出てきた。

 ひとり居の気楽さ今日は淋しさのひたに増しゆく百五の私(19年9月24日付)

 何もかもヘルパーさんに頼る日日手の爪だけは今も切れます(20年1月26日付)

    ◆   ◆

 武川さんによると、南部さんは何事にもきっちりとした性格で、短歌や書が趣味だった。今年7月初旬に自宅を訪れたときには、ベッドから起き上がり、まだ元気そうな姿を見せた。

 その後、次第に寝込むことが増え、最期は自宅でめい夫婦にみとられ、安らかに旅立ったという。「100歳を超えても趣味を貫いた。すごいと思う。僕らのこともよく短歌に詠んでもらった」と振り返る。

 新月淡路短歌会に所属する島内外のメンバー12人は、南部さんをしのび追悼の短歌42首を寄せ合った。島田さんが小冊子にまとめる作業を進めた。

 

 「また来てね、ちよいちよい顔が見たうなる」いつものことば聴けぬ悔しさ

 百七歳みやびな歌を詠み給ふまなざし今も少女なるひと

 入賞歌「九十六歳まだ生きんとす」あれから十年詠み続く人

 「淡路島が生んだ素晴らしい歌人だった。107歳まで歌を詠んだ南部さんのことを、後世に伝えていきたい」。島田さんらメンバーはそう願っている。

淡路
淡路の最新
もっと見る
 

天気(10月26日)

  • 22℃
  • 14℃
  • 10%

  • 20℃
  • 11℃
  • 30%

  • 21℃
  • 13℃
  • 20%

  • 22℃
  • 13℃
  • 50%

お知らせ