ドローンで医薬品搬送 災害時の活用期待 官民の共同事業体が実験 洲本
2021/11/06 05:30
メディセオ物流拠点から県立淡路医療センターに向かって飛び立つドローン=洲本市下加茂2
将来、空から物が届くかも-。そんな可能性を見据え、小型無人機ドローンで模擬の医薬品を運ぶ配送実験がこのほど、兵庫県洲本市内であった。医薬品卸メディセオ(東京)の物流拠点から、県立淡路医療センターへの2・5キロを約10分で飛んだ。病院や山間部へ、地域の事情に応じてさまざまな物品を運ぶことを想定。災害時の供給手段も目指す。(上田勇紀)
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国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」の委託事業。通信大手KDDIが呼び掛け、県や日本航空(JAL)など官民のコンソーシアム(共同事業体)をつくり、10月下旬に県内3カ所で実験した。
洲本はその一つ。下加茂2にあるメディセオの物流拠点で、直径約1メートル90センチのドローンに模擬医薬品を搭載。合図とともに約100メートルの高さまで浮上し、あらかじめ設定した洲本川の上を通る経路を進んだ。
物流拠点の屋内で、日本航空社員が飛行中のドローンから届くカメラ映像などをチェック。洲本川の橋に人員を配置し、ドローンが上空を通過する時は歩行者を止めて安全を確保した。淡路医療センターの屋上に着陸し、実験は成功した。
物流業界では、人手不足も背景に配送の効率化が加速している。政府も航空法改正などのルール整備を進める。技術や管理態勢が進歩すれば、日常的にドローンを使って物を運ぶ時代が現実味を帯びる。
今回の実験について、日本航空エアモビリティ創造部の村越仁部長は、「物流の最適化へ大きな一歩。車と比べて環境に優しい。活用先は多い」と話す。メディセオの若菜純取締役は、阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験から、「非常時にも、病院や薬局で必要とされる医薬品を確実に届けることが重要。新たな手段として期待している」と話していた。