引き締まった身、ほのかな甘み 手間暇かけた「淡路島3年とらふぐ」水揚げピーク
2021/12/01 05:30
沖合のいけすからフグを移す前田若男組合長=南あわじ市、福良湾
北風の冷たさが強まる兵庫県南あわじ市の福良湾で、冬の味覚「淡路島3年とらふぐ」の水揚げが最盛期に入った。3年間、鳴門海峡の潮流が入り込む養魚場で育った引き締まった身と、ほのかな甘みが人気の逸品。新型コロナウイルスの流行が落ち着く中、需要も高まっているといい、漁師たちは沖合の養殖場からフグを水揚げし、加工場でさばく作業に精を出している。(西竹唯太朗)
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「3年とらふぐ」は、通常2年間養殖して出荷するフグを、1年長く育てて大きくしたもの。2年ものと比べて倍近い体が特徴で、高級食材として島内のホテルや京阪神の料亭などへ出荷される。近年は、ふるさと納税の返礼品やネット販売でも人気という。
福良湾でのフグ養殖は、1980年代に始まった。当初は2年間育てて出荷していたが、県外でも取り組む業者が増えたため、ブランド化で付加価値を高めようと、3年養殖に踏み切った。
現在、福良漁協に加盟する水産業者5社が手掛ける。フグは沖合約2キロのいけすで飼育。養殖期間が長くなると、飼育の難易度は格段に上がるといい、出荷できるまでに育つのは半数ほど。いけす内で病気をまん延させないための見回りや、共食いを防ぐための「歯切り」などに気を配る。出荷時期は11月から3月末ごろまでで、今シーズンの総水揚げ量は例年並みの約10万匹を見込む。
昨シーズンは、政府の観光支援事業「Go To トラベル」がシーズン序盤に重なり、一時的に飛躍的に出荷量が高まったが、その後の緊急事態宣言で著しく下がるなど需要の波が激しかったという。
今シーズンは、兵庫県民の県内旅行代金を割り引く県のキャンペーン効果などで滑り出しは好調。ただ、ここにきて海外でコロナの新たな変異株が拡大しており、同漁協の前田若男組合長(51)は「このままコロナが落ち着いてくれるのが願い。手間暇かけて育てたおいしいフグなので、ぜひ味わってほしい」と話す。