ユダヤ人救った偉業の顕彰を 南あわじ市出身の軍人・樋口季一郎氏テーマの講演会

2022/01/24 05:30

樋口季一郎氏をテーマに語り合うパネリストら=南あわじ市市三條

 ナチス・ドイツに迫害されたユダヤ人難民を救ったとされる兵庫県南あわじ市出身の旧陸軍軍人、樋口季一郎氏(1888~1970年)をテーマにした講演会(神戸新聞社後援)が23日、同市の中央公民館であった。旧満州国に赴任していた1938年、旧ソ連領に逃れてきた難民の受け入れを決断した功績を、パネリストらが熱心に語り合った。

 樋口氏は旧阿万村(現南あわじ市阿万地区)の生まれ。講演会は、地元住民らが発足させた研究会が開いた。同市の出田勇亀一会長は「島が生んだ偉人。偉業を多くの人に知ってほしい」と話す。
 基調講演で、伊弉諾神宮の本名孝至宮司は樋口氏の生い立ちや当時の歴史背景などを語り、「素晴らしい先人たちを顕彰し、誇りを持って過ごしていきたい」と話した。
 続くシンポジウムでは、司会を含め4人が登壇。ユダヤ難民研究家の巽正憲さんは、「命のビザ」で有名な外交官杉原千畝氏より前に、迫害された多くのユダヤ人難民を救う人道的な決断だったと紹介。「樋口氏の例があったから、その後の杉原氏は決断しやすかった」と指摘した。(上田勇紀)

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