淡路の新リゾート施設、仕掛け人はものづくり業界からの華麗な転身 「島旅の玄関口に」

2022/07/15 05:30

目玉の水着で入る温泉を指すアクアイグニス淡路島の古市尚社長=淡路市夢舞台

 兵庫県淡路市夢舞台の国営明石海峡公園内に開業し、海辺の温泉浴場が目を引くリゾート施設「アクアイグニス淡路島」。運営会社の古市尚社長(64)=同県西宮市=は、大阪から淡路市に本社工場を移した攪拌(かくはん)機メーカー・プライミクスの元社長だった。2年前に退いた後、計画を進めてきた。ものづくりから観光業への転身。トレードマークのちょうネクタイ姿で、「淡路島に来て抱いた地域活性化の思いを実現したい」と話す。(中村有沙) 関連ニュース 目前に広がる大阪湾、水着で楽しむ屋外温泉 国営明石海峡公園に新リゾート施設開業 「お前、誰やねん」無名&赤字社長救った生パスタ 今やロイホで全国拡大 「外食ガリバー」渋谷から目指す 丸亀製麺のトリドールHD社長「服は全部『ユニクロ』」


 プライミクスは、医薬品や化粧品、加工食品の材料を高速回転などで混ぜ合わせる攪拌機を手がける。古市さんは創業一族で、2004年に社長に就いた。15年に淡路市へ移転。敷地内に浴場やゴルフ練習場などを設けて社員の生活充実を後押しした。
 2年前、東証1部(現プライム)上場企業に会社を売却した。親族に後継者がいなかったのと、社業の一層の成長を目指すための事業承継だったという。
 「島との縁を生かして何かしたい」と考え、明石海峡公園で未利用だった敷地の開発を民間に委託する方針を知った。国内各地でリゾート施設や商業施設を展開するアクアイグニス(東京)の社長に声をかけ、施設を計画。国の公募で選定された。
 運営会社は、古市さんがオーナーのコンサルティング会社が40%、アクアイグニスなど2社が30%ずつ共同出資した。飲食店などのメニュー開発を担うコンサル会社と、アクアイグニスのノウハウを生かし、年間50万人の利用を見込む。
 淡路島の印象を「都会から最も近い過疎地」と語る。海が身近にある自然豊かな環境に接し、「活性化させたい」と思うようになったという。施設には貸自転車も用意し、散策後に温泉に入って食事する楽しみ方などを提案する。再スタートとなった13日の開業式典で、「利用客の満足度を高め、島の旅の玄関口として盛り上げたい」と話した。

■温浴施設、絶品料理…植栽公園などと相乗効果期待
 国営明石海峡公園内に開業したアクアイグニス淡路島は、海沿いの開放的な温浴施設と地元食材を使った料理を売り出す。貸自転車店、エステティックサロンもあり、隣接する植栽公園などと集客の相乗効果を目指す。
 13日の式典で国や自治体、同施設の関係者らがテープカット。12日夕の報道向け内覧会で、イタリア料理店「ペスケリア・アンコラ」の片岡護シェフは「漁港や農家が近い。新鮮な料理を提供できる」と話した。10月にバーベキュー施設のオープンを予定する。(内田世紀、中村有沙)

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