平和への願い込め踊り続ける…ウクライナから避難したバレエダンサー出演、淡路にテント劇場が完成

2022/08/26 05:30

テントシアターの舞台で、青色と黄色の衣装で踊るバレエダンサー=淡路市野島大川

 戦禍のウクライナから避難したバレエダンサーらが出演するテント劇場が、淡路島にできた。総合人材サービスのパソナグループ(東京)が設けた「ワールドバレエテントシアター」(兵庫県淡路市野島大川)。同国独立記念日の24日にあったオープニング公演で出演者らは国旗を掲げ、平和を訴えた。(荻野俊太郎) 関連ニュース 【写真】ウクライナ国旗を掲げる出演者ら ウクライナから避難のバレエダンサーら 淡路島でチャリティー公演 ウクライナから避難のバレエ講師らを斎藤・兵庫県知事が訪問 淡路市滞在の4人


 世界的バレエダンサーの針山愛美さん(45)が公演を企画した。針山さんと共に出演するダンサーは、ウクライナ国立バレエ団員だったスベトラーナ・シュリヒテルさん(22)とネリア・イワノワさん(22)、同国国立バレエ学校講師のマルガリータ・ドシャコワさん(48)とカトリーナ・エブチコワさん(45)。5月以降、パソナの支援で来日し、淡路島で生活しながらバレエを続けている。
 さらに、日本人ダンサーやオーディションで選んだ学生が加わり、総勢約30人の公演となった。初日はウクライナ民謡「メロディ」やクラシック曲「白鳥」など6演目を用意。約130人の観客に、繊細な踊りを披露した。世界平和への願いを込めたベートーベン交響曲第9番と、ウクライナ国歌の演奏もあった。
 終了後、ドシャコワさんは「大切な日に観客の前で踊れてうれしい。みんなで平和を願ってほしい。そのために踊り続ける」と訴えた。イワノワさんは「このような状況が早く終わってほしい」と願った。
 シュリヒテルさんは来日後、涙を流す瞳の絵を描き、戦争の悲しみや怒りを表現した。引き伸ばして舞台の背景として使われ、「ウクライナ人みんなの気持ちを乗せて踊った」と話した。
 オープニング公演は27日まで。2500円。パソナは売り上げの一部をウクライナ人道支援の寄付に充てる。今後も公演を企画し、9月以降にバレエのワークショップも予定している。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ