鶏ガラスープきめ細やか、まるでカプチーノ 行列できる屋台ラーメン 店主の確かな戦略 南あわじ

2022/09/04 05:30

「津井の屋台」を開店した馬崎泰成さん=南あわじ市津井

 兵庫県南あわじ市津井の県道「阿万福良湊線」沿いで、昨年末から営業する屋台が人気を集めている。趣向を凝らしたラーメンを目当てに、地元住民や観光客が訪れる。ところが、店主は「ラーメン店じゃないんです」と一言。店先にも「南あわじラーメン」と掲げているのに、どういうことか。(西竹唯太朗) 関連ニュース なぜ、こんな場所に… 豪快人生の証し?ラーメン店の駐車場に大型ヨット 同期入団は赤星、藤本…元虎戦士がラーメン屋で再出発 本場・博多で修行、正統派スープで勝負 人気ラーメン店もっこすには「仙人がいる」 神戸の都市伝説を検証


 疑問はさておき、主力メニューの「鶏カプチーノ」を注文する。鶏ガラで取っただしを調理機器でかき混ぜ、喫茶店で人気のカプチーノのように、きめ細かな泡を立たせた一品。濁ったスープは見た目さながらこってり風味だが、後味はマイルド。細麺との味の絡み方や、豚の腕肉を使ってあっさり目にしたチャーシューとの相性も人気の理由となっている。
 交流サイト(SNS)や口コミで人気が広がり、5席の店内は大忙しに。店主の馬崎泰成さん(46)は、「1日10~20組を想定していたが、列ができるようになった」と話す。
 大ヒットにもかかわらず、「店の正式名称はない。『津井の屋台』と呼んでおり、インターネットの地図アプリでもそう表示されている」と馬崎さん。屋台を開いた目的がラーメンの販売だけではなく、さまざまな料理レシピを開発するためだったからという。
 馬崎さんは大阪市出身。もともと料理が好きで、すし店やラーメン店に勤めて腕を磨いた。「農業をして、作った物で飲食店をしたい」と、2007年に淡路島に移り住んだ。
 最初にマンゴーの栽培に取り組んだが、思っていたよりも冬場の気温が低く、うまくいかなかった。試行錯誤の末、洲本市でカレー店を開き、昨年末まで携わった。
 次に、全国の飲食店から依頼を受けて料理レシピなどを開発する商売を始めた。「レシピを提供した料理がどれだけ客に受け入れられるか。試食の場として屋台を開き、反応を見れば手っ取り早い」と出店を決めた。
 角煮などのメニューもあるが、ひとまず人気が出たラーメンに集中している。今後、「鶏カプチーノ」のレシピを有料で提供する用意もあるとし、「博多のラーメン屋がみんな『豚骨の博多ラーメン』と掲げているように、南あわじ=鶏ガラになったらうれしい」と話す。
 材料の鶏ガラは、栃木県の養鶏業者から調達している。島内で購入先を探す考えで、「『南あわじラーメン』として、ご当地商品化したい」と意気込む。

神戸新聞NEXTへ
神戸新聞NEXTへ