「淡路島ですごいチャンス」中学生3人が出演、ウクライナ避難者のバレエ公演 本場の表現力に圧倒
2022/09/17 05:30
3人が立った舞台=淡路市野島大川
 戦禍のウクライナから淡路島に避難してきたバレエダンサーらの公演に、地元の中学生3人が出演した。ウクライナの元国立バレエ団員らと共に練習を重ねて舞台へ。本場のしなやかな踊りと豊かな表現力を間近で見て、「避難先で堂々と踊っている姿から強さを感じた」「しぐさがきれいで憧れた。もっと柔軟体操を頑張る」と刺激を受けていた。(中村有沙)
          
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 公演は8月24~27日の4日間、兵庫県淡路市野島大川にパソナグループ(東京)が設けた「ワールドバレエテントシアター」であった。世界的バレエダンサーの針山愛美さんが企画。パソナの支援で来日したダンサーやウクライナ国立バレエ学校講師らが出演した。
 地元から舞台に立った3人は、三原中1年の眞野結衣さん(13)、津名中3年の北井さらさん(15)と1年の恵茉さん(12)姉妹。眞野さんは南あわじ市内、北井さん姉妹は神戸市内のバレエ教室に通っている。選考会があると知った家族が勧め、「淡路島でプロと踊れるなんてすごいチャンス」と参加。出演が決まった。
 6月に始まったオンラインの練習で振り付けの説明があり、合同練習までに覚えるよう指示された。動画だけを見て覚えるのは初めて。自主練習に苦労したという。
 8月に始まった合同練習は、1日6時間が計7日間続いた。3人は「みっちりの練習で、しんどい時もあった」と打ち明ける。それでも、ウクライナのダンサーの表現力に驚き、乗り切れたという。
 本番の公演時間は約70分で、3人は世界平和への願いを込めたベートーベン交響曲第9番など、2曲分約20分間に登場。ウクライナダンサーらの後ろに付いて踊った。
 北井さらさんは、出演者で手をつないで平和を表現する場面を振り返り、「(ウクライナのバレエダンサーは)心の底からうれしい気持ちがあふれているような笑顔だった。笑うだけでこんなに表現できることに驚いた」と話す。恵茉さんは、「足を上げる高さが私たちとは全然違って高かった。それを当たり前のようにやっているのがすごかった」という。
 戦争についても考え、眞野さんは「故郷を離れて頑張っている人がいる。早く侵略がなくなってほしい」。恵茉さんは「一緒に踊った皆さんとは言語や外見が違ったけど、同じ人間。争わず、皆で仲良くなれる世界になってほしい」と願った。
 出演が決まった当初は不安な気持ちだった3人。眞野さんは「ウクライナ人の先生からたくさん注意を受けたけど、その分頑張ろうと思えた。今回の経験を生かしてバレエを続ける」と意気込みを新たにしていた。