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津波を想定した避難訓練で渦潮観光船の乗客らを誘導するジョイポート南淡路の従業員=2015年7月、南あわじ市福良甲
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津波を想定した避難訓練で渦潮観光船の乗客らを誘導するジョイポート南淡路の従業員=2015年7月、南あわじ市福良甲

 神戸新聞社は東北のブロック紙・河北新報社(仙台市)と共同で9月2、3の両日、防災ワークショップ「淡路むすび塾」(兵庫県後援)を南あわじ市の福良地区で開く。南海トラフ巨大地震で甚大な津波被害が懸念される地区を舞台に、東日本大震災の教訓を伝え、住民の命と地域を守るとともに、観光客の避難の在り方も考える。(佐藤健介)

 むすび塾は2012年から河北新報社が取り組む防災・減災キャンペーンで、東日本大震災の被災地を巡回し、学校や町内会などと防災について語り合っている。14年からは全国の地方紙と連携して展開。神戸新聞社との共催は第7弾となる。

 南海トラフ巨大地震で兵庫県が想定する福良地区の津波高さは県内最大の8・1メートル。地震発生から58分後には水位が50センチを超え、避難が難しくなる。鳴門海峡の渦潮に代表される観光地で「観光客の避難」も重要なテーマになる。

 2日は、父親を津波で亡くした大学生や、従業員らが犠牲になった岩手県大槌町の観光ホテル経営者、津波から生き残った宮城県南三陸町職員が語り部として参加。小学校での防災授業や、保育所と合同での避難訓練を実施する。語り部が住民を対象に被災体験を伝える会も開く。

 3日は福良地区の全住民を対象にした津波避難訓練がある。渦潮観光船「ジョイポート南淡路」の従業員らも参加し、行楽客に見立てた兵庫県立大の学生を高台の住宅地へ誘導する。終了後はワークショップを開き、訓練の成果や反省点を話し合う。神戸大都市安全研究センターの北後明彦教授が専門家の立場で助言する。

■観光資源集積、行楽客の安全確保模索

 河北新報社との共催で開く「淡路むすび塾」は、東日本大震災の教訓を踏まえ、南海トラフ巨大地震による津波からの「観光客の安全確保」も大きなテーマになる。開催地の南あわじ市福良地区は、鳴門海峡の渦潮や、国指定重要無形民俗文化財・淡路人形浄瑠璃などの観光資源が集まる。関係者は「大津波の危険性を十分認識せず、土地勘も乏しい行楽客らをどう守るのか、考えるきっかけにしたい」と期待する。

     ◇

 兵庫県の被害想定では、巨大地震による南あわじ市の死者は1473人、建物全壊が1万1255棟に上る。県などは、県内最大の津波水位が予想される福良港に湾口防波堤の整備を進めるが、早期避難などソフト面の対策を徹底すれば、死者を125人まで減らせるとする。

 渦潮観光船の運航会社「ジョイポート南淡路」は津波発生時の対応を定める。船が鳴門海峡付近にいる場合は姫路港(姫路市)に逃れ、乗降中や陸地にいる客は約2キロ離れた高台の住宅地へ誘導。昨年7月には実際に客を近くの公園に避難させる訓練を実施した。

 鎌田勝義社長(50)は「観光客が車を置いて徒歩で逃げてくれるのか。渋滞で避難に支障が出る事態は避けたい」と懸念する。「津波到達まで時間的余裕がある。東日本大震災の教訓を基に、安全な場所が近くにあることを伝え、車による避難の危険性を訴えたい」と話す。

 2012年8月に開館した淡路人形浄瑠璃の専用劇場「淡路人形座」でも座員が観客を高台へ避難させる。坂東千秋支配人(52)は「避難場所まで高齢の観光客らをうまく誘導できるか心配だ。ジョイポートなど近隣の施設との合同訓練も検討すべきか」とする。

 福良地区は避難路の整備が進み、自主防災の活動も活発な「先進地」とされる。むすび塾開催が、防災力をより高める契機となることが期待される。(佐藤健介)

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