防災防災ひょうご防災新聞

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飯舘村の人々に密着した写真絵本「それでも『ふるさと』」
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飯舘村の人々に密着した写真絵本「それでも『ふるさと』」
被災地で取材する豊田直巳さん
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被災地で取材する豊田直巳さん

 東日本大震災の発生直後から福島県飯舘村の取材を続けるフォトジャーナリスト豊田(とよだ)直巳さん(61)=東京都東村山市=が、写真絵本「それでも『ふるさと』」全3巻を出版した。原発の被災により、生まれ育った土地を奪われた人たちにカメラを通じて寄り添った、7年間の記録だ。(田中真治)

 飯舘村は福島第1原発の北西約40キロの中山間地域にある、人口約6千人の村。深刻な放射性物質の飛散に見舞われながらも、計画的避難区域の対象となったのは約1カ月後だった。

 登場するのは、原発事故にも「負けてられねぇ」と、自らを奮い立たせてきた人たち。

 酪農家のリーダーだった男性は牛の処分を余儀なくされ、内陸の仮設住宅に移る。子どもや孫は県外の町へ。村には汚染土を削り取った袋が並び、のどかだった風景は一変する。それでも「ふるさとが荒れ果てるのはしのびない」と、男性は牧草地だった場所にソバを植える。売れないとは知りながら、仲間と汗を流す。

 行者ニンニクを栽培する男性は、初めての収穫を前に被災した。「何もしないのが一番怖い」と避難先に畑を借り、村の近くでも妻や老母と栽培を再開する。昨春、ようやく避難指示が解除された。だが、念願の帰村を果たした老母には、畑に出るだけの体力はもう残されていなかった-。

 避難指示解除後、戻った村民は1割にすぎない。子育て世代の姿はなく、大半は高齢者。学校が再開しても、子どもたちは村外から通学しているという。

 「後が続かず、帰村者は今がピークかもしれない」と豊田さん。近づく仮設住宅の解体にも不安を感じている。「家族をばらばらにされ、避難先でどうにかコミュニティーをつくってきた人たちが、もう一度ばらばらになったらどうなるのか」

 震災をテーマに写真集やドキュメンタリー映画などを発表してきた豊田さんが今回、写真絵本という形をとったのは、「なぜ自分が甲状腺被ばく検査を受けているか、知らない子どもたちが出始めている」という驚きからだ。

 「どう伝えていくか、真剣に考えないといけない時にきている。大人だけでなく、子どもの心にも訴えかけられれば」と豊田さんは願っている。

 農山漁村文化協会刊。AB判オールカラー32ページ、総ルビ付き。各巻2160円。

 また、豊田さんの写真展「フクシマの7年間~尊厳の記録と記憶」の全国巡回プロジェクトが進行中。主催者には写真パネルを無料で貸し出す。詳細は同プロジェクトのサイトで。

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