防災防災ひょうご防災新聞

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阪神・淡路大震災の語り部の話に耳を傾ける吉村静代さん(右端)=2月9日、神戸市長田区若松町11(撮影・井沢泰斗)
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阪神・淡路大震災の語り部の話に耳を傾ける吉村静代さん(右端)=2月9日、神戸市長田区若松町11(撮影・井沢泰斗)
熊本地震の語り部活動を支援する神戸大学術研究員の山地久美子さん=神戸市灘区六甲台町
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熊本地震の語り部活動を支援する神戸大学術研究員の山地久美子さん=神戸市灘区六甲台町

 発生から2年を迎える熊本地震の被災地で、震災の語り部たちが記憶の継承に向けて動き始めた。熊本県益城町(ましきまち)のNPO法人は今年、幅広い世代の被災体験を映像や音声で記録化に臨む。阪神・淡路大震災の兵庫の取り組みを目の当たりにし「受け継がれた教訓が次代の防災に生きる」との思いを強くした。支援する神戸の防災研究者も、語り部との交流を通じて教訓の普及を後押しする。(金 旻革)

 2月上旬、益城町最大の仮設住宅「テクノ仮設団地」で暮らす被災者ら4人が神戸市長田区を訪れた。企画したのは神戸大地域連携推進室学術研究員の山地久美子さん(災害社会学)。阪神・淡路大震災後にまちづくりの専門家らで結成された「神戸復興塾」に参加し、熊本地震後は益城町などを訪ね、町職員向けの意見交換会で阪神・淡路の語り部について伝えた。

 「被災地の語り部が行き来しネットワークをつくることが大切」と考え、テクノの住民らを招いた。一行は大火の跡地にできた同区の防災公園で、犠牲者を慰霊する「あわせ地蔵」などを見て歩き、自治会役員から当時の様子や1月17日の追悼行事の説明を受けた。

 テクノ仮設の自治会長、吉村静代さん(68)は、NPO法人「益城だいすきプロジェクト・きままに」代表として避難所のころからコミュニティーづくりに尽力。その経験を各地で100回以上語った。自身の体験に聞き入る姿を見て、伝え継ぐ意義を実感した。

 今回の長田訪問で語り部活動への意欲がさらに高まった。「震災から20年以上がたっても教訓を幅広い世代で共有している」ことに感銘を受けたからだ。今後、幼児から高齢者までそれぞれが感じた地震を記録に収めようと計画している。

 熊本では1889(明治22)年に大地震があったが、その後に教訓が受け継がれずにいたという。「語り部が果たす役割は大切だが、被災の経験を伝えるだけでは不十分」と吉村さん。阪神・淡路や東日本大震災の被災地を今後も訪ね、教訓を共有するつもりだ。

 一方、山地さんは2年前から宮城県南三陸町や淡路市で開いてきた「全国被災地語り部シンポジウム」を、次回は初めて熊本市内で開くことにした。

 山地さんは「兵庫の被災経験が熊本の教訓になり、熊本の経験が兵庫の教訓になる。伝え合い、学び合いが未来の災害への備えとなるはず」と信じる。吉村さんも「阪神・淡路の被災地がつないだ多くの縁を生かし、記憶のバトンを次世代に手渡すため、語り部を普及させたい」と意気込んだ。

     ◇

 【熊本地震】 2016年4月14日午後9時26分、熊本県を震源地とするマグニチュード(M)6.5の地震が発生。同県益城町で震度7を記録した。16日午前1時25分にもM7.3の地震が起き、益城町と同県西原村で震度7を記録。直接死と関連死を合わせて250人以上が犠牲になった。住宅は約8700棟が全壊、半壊は約3万5千棟。一時避難者は熊本県で18万人超、大分県で1万人超に上った。

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