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台風21号の高潮により、護岸フェンスをなぎ倒して越波した海水=2018年9月4日、芦屋市涼風町
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台風21号の高潮により、護岸フェンスをなぎ倒して越波した海水=2018年9月4日、芦屋市涼風町

 1日に兵庫県が公表した「最悪ケース」の高潮浸水想定。浸水エリアは南海トラフ巨大地震で発生する津波よりも広範囲におよび、阪神地域の自治体に驚きや困惑が広がった。「不安をあおるだけでは」との声も上がるが、県は、住民の避難意識を高めてもらう狙いという。昨年9月、台風21号による高潮で被災した芦屋市の住民は「想定以上のことが起こる」と強調する。

 「衝撃を持って受け止めた」

 伊丹市の担当者は驚く。海に面していない市として、これまで高潮被害は想定していなかったという。

 今後、住民らへの避難呼び掛けの方法や、尼崎、西宮市からの避難者をどのように受け入れるかについて議論を始める。

 一方、西宮市の担当者は「この規模の想定で毎回体制を整えるわけにはいかない。市民に不安をあおるだけだ」と困惑。同市は「最悪の事態」でなく、高潮の規模に応じた段階的な想定を示すよう県に求める考えで、今回は「市民が混乱しない方法で周知を検討する」としている。

 県によると、高潮による浸水想定図の公表は2007年以来。国の手引に基づく厳しい条件で見直したところ、尼崎、西宮、芦屋、伊丹の4市合わせた浸水区域は、南海トラフ巨大地震で発生する津波がもたらす浸水被害の3倍を超える。

 市域を猪名川と武庫川に囲まれた尼崎市。洪水や高潮への危機感は高く、市の担当者は「驚きはない」と受け止める。

 5年前に作成した高潮ハザードマップを本年度中に更新するほか、一時避難所として指定する民間マンションの数を現行の360から増やす方針だ。今回の公表を「備えの意識啓発に生かしたい」と前向きにとらえる一方で、「市民がパニックにならないような冷静な伝え方も必要」とする。

 一方、昨年9月の高潮で市街地の浸水被害があった芦屋市。県が堤防のかさ上げなどを行っている。南芦屋浜地区は今回の想定でようやく浸水想定区域に加わった。同地区で自宅が床上浸水した男性(60)は「被災住民の意識は今も高い。同じ被害を繰り返さぬよう、ソフトとハードの取り組みが必要では」と話す。

 県は、「津波避難ビル」のように高い建物の指定なども考えるが、津波と違って高潮は水が引くのが遅く、避難者が長時間孤立する恐れもあるという。担当者は「従来の津波や巨大地震対策とは、異なる考え方をしなければならない」としている。

(竹本拓也、初鹿野俊、前川茂之)

■堤防で囲まれた東京・江戸川区 大水害時は区外避難

 街の大半が堤防に囲まれた東京都江戸川区。洪水や高潮による大水害が迫った際は、「区外避難」を呼び掛けている。

 約70万人が生活する江戸川区は、旧江戸川、荒川の最下流域と東京湾に囲まれた地形で、区域の約7割は満潮時の水面の高さより低い。1947年には利根川の堤防が決壊したカスリーン台風で3万世帯以上が浸水した経験がある。

 同区は今年5月、「ここにいてはダメです」と強いメッセージを明記した水害ハザードマップを全戸配布した。予測を厳しい条件で見直したところ、浸水が少なくとも1~2週間続くという。停電や断水でライフラインが寸断される上、トイレやエアコンが当面使えない事態では、「屋内にとどまること自体が危険」とし、区外の知人宅やホテルなどへの避難を勧めている。

 周辺の墨田区や江東区など5区で対策を検討しており、被災者推計は計約250万人。江戸川区防災危機管理課の本多吉成統括課長は「自分の命を自分で守ってもらうためには、早めの情報発信が不可欠」と話している。(竹本拓也)

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