防災 防災 ひょうご防災新聞

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濁流にのまれ、9人が犠牲になった現場の慰霊碑。亡くなった子どもらをよく知る近所の山本孝行さんが10年前を思い出し、手を合わせる=兵庫県佐用町本郷(撮影・小林良多)
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濁流にのまれ、9人が犠牲になった現場の慰霊碑。亡くなった子どもらをよく知る近所の山本孝行さんが10年前を思い出し、手を合わせる=兵庫県佐用町本郷(撮影・小林良多)
犠牲になった9人は避難する途中、水があふれた用水路から幕山川へと流された=兵庫県佐用町本郷(撮影・小林良多)
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犠牲になった9人は避難する途中、水があふれた用水路から幕山川へと流された=兵庫県佐用町本郷(撮影・小林良多)
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 兵庫県内で22人の死者・行方不明者を出した県西・北部豪雨からまもなく10年を迎える。20人が犠牲となった佐用町の教訓は、防災にどう生かされ、何が変わったのか。同町の今と、災害から命を守るための模索を取材した。

■「学校に逃げよう」裏目に

 「水が来たら出られなくなる。2階は危ない。外に出よう」

 2009年8月9日夜、佐用町本郷地区。1時間89ミリという記録的豪雨で冠水が始まった町営住宅で、体育館への避難を呼び掛けて回った隣保長の女性=当時(40)=は、2階に避難させてほしいと頼んだ平屋棟の女性=当時(47)=にそう告げた。

 まず2家族7人が川向かいの幕山小学校(15年閉校)を目指し、腰の高さまで水没した道を渡り始めた。暗闇ではぐれないよう全員手をつなぎ、父親と男児はロープで体を結んだ。

 だが用水路付近で濁流が全員を押し流した。後から渡ろうとした4家族6人のうち隣保長の女性ら3人も流され、この現場だけで9人が犠牲になった。

 それから10年。町営住宅は今も残り、用水路はささやかな水量をたたえていた。当時、災害対応に奔走した地区役員の山本孝行さん(68)は「普段の訓練で『避難先は小学校』という意識が定着していた。それが裏目に出たのでは」と悔やむ。

     ◇

 避難所などに移動する「水平避難」中に発生した多数の犠牲は、自宅の2階などにとどまる「垂直避難」が見直されるきっかけになった。国は13年に災害対策基本法を改正し、垂直避難の考え方を盛り込んだ。

 だが、昨年の西日本豪雨では、2階まで浸水したり、土石流で家ごと流されたりする被害が相次いだ。県が今年5月に発表した「千年に1度」級の大雨を想定した浸水区域図では、宍粟市で水深が最大12・9メートルに達した。県は浸水の継続時間の長い区域でも、垂直避難ではなく家から逃げるのが望ましいとする。

 災害のたびに、教訓が塗り替えられる。逃げるべきか、とどまるべきか。県立大の木村玲欧(れお)教授(44)=防災心理学=は「まずは、住民一人一人が自宅の危険性を把握すること。その上で、どのような警報でどう行動するか、普段から準備しておく必要がある」と指摘する。

     ◇

 県は本年度、佐用町など10市町をモデル地区に、住民1人ずつ「避難カード」を作成する事業に取り組む。災害の専門家が地域を訪れ、ハザードマップを使って戸別に危険性を解説。家にいても安全か、水平避難すべきか、災害時の行動計画を決める。

 同町の諏訪弘防災対策室長は「時代とともに災害の形も住民の考えも変わる。避難カードも含め、この町に適した避難方法を常に研究し模索していきたい」と話した。(古根川淳也)

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