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水害を教訓に整備した「輪中堤」の使い方を訓練する真盛地区の住民=兵庫県佐用町真盛(撮影・小林良多)
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水害を教訓に整備した「輪中堤」の使い方を訓練する真盛地区の住民=兵庫県佐用町真盛(撮影・小林良多)

■予算限界共助で“整備”

 佐用町など兵庫県内6市町に大雨特別警報が出された2018年7月6日夜、同町企画防災課防災対策室の鞍田誠室長補佐(47)は、役場本庁舎で千種川水系の水位計や河川カメラをにらんでいた。

 各地に甚大な被害をもたらした西日本豪雨。同町でも、7日正午までの24時間雨量は191ミリに達したが、ほとんどの川が避難判断水位を超えることはなかった。雨が上がり、家屋の浸水被害ゼロを確認した鞍田室長補佐は「大規模工事のおかげだな」と実感した。

 兵庫県内で22人の死者・行方不明者を出した県西・北部豪雨を受け、県は千種川水系の緊急河道対策を進めた。堤防をかさ上げし、川幅を広げ、川底を掘り下げる。約565億円の予算と手厚い人員配置で、川筋55キロの工事が16年に完了していた。

 だが、同じ夜、東隣の宍粟市では土砂崩れで男性1人が死亡し、広島県や岡山県でも大量の土砂や濁流が住宅をのみ込んでいた。

     ◇

 災害が起きるたび、被災地には予算が重点配分され、同じ災害にも耐えるハード整備が進む。一方で、危険が予想されながら、対策が進まない分野もある。

 兵庫県内には土砂災害警戒区域が約2万1千カ所あるが、年間に設けられる砂防ダムは約35~50カ所。県砂防課の担当者は「力を入れているが、短期間で全ての危険箇所をカバーするのは難しい。予算にもマンパワーにも限りがある」と限界を認める。

 兵庫県立大大学院の室崎益輝・減災復興政策研究科長は「ハード対策をしても、想定外の災害は常に起こり得る。その時、地域でどう動くか。地形、条件に合った準備と連携が重要になる」と指摘する。

     ◇

 7月28日午前、佐用町真盛(さねもり)地区の住民約35人が防災倉庫前に集まった。「そっち持ってくれるか」「ぶつけへんように」と声を掛け合って約15キロのアルミ製の耐水壁を運び出し、5戸7人が暮らす地域を囲む堤防を閉ざす訓練を終えた。

 江戸時代が起源とされる「輪中堤(わじゅうてい)」。水害に遭いやすい低地などの一帯を壁で囲い、河川氾濫の恐れが出れば、道路や家屋の出入り口を住民自ら耐水壁で閉ざす。住民の負担はあるが、地盤をかさ上げするより工費は格段に抑えられる。

 県西・北部豪雨で11軒が全半壊、5軒が浸水した真盛地区では年1回、住民が集まって輪中堤を閉ざす訓練に励み、午後は納涼祭を楽しむ。自治会長で、12年まで副町長を務めた〓見俊男さん(66)は「日頃から集落全体でふもとの木を切ったり、畑を耕したり、助け合う精神が根付いている」と絆を誇る。

 共助に支えられたハード設備で、来る天災に備える。(伊藤大介、井上太郎)

※〓は「高」の異体字、はしごだか

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