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追悼施設「釜石祈りのパーク」を訪ねた甲南女子大学生ら=18日午前、岩手県釜石市鵜住居町
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追悼施設「釜石祈りのパーク」を訪ねた甲南女子大学生ら=18日午前、岩手県釜石市鵜住居町
復興への心構えを自治体職員に語る室崎益輝さん(左から2人目)=19日午後、岩手県野田村の村役場
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復興への心構えを自治体職員に語る室崎益輝さん(左から2人目)=19日午後、岩手県野田村の村役場

 避難した後にもかかわらず、多くの住民が津波の犠牲になった。壊滅的な被害が出た町は今も人影がまばら-。東日本大震災で被災した岩手県沿岸部を今月中旬、神戸の学識者や大学生らが足を運んだ。知っているようで知らなかった被災地の現実。そして、阪神・淡路大震災の経験を懸命に伝える。阪神・淡路から24年、東日本から8年がたった今、被災地同士の「学び合い」が熱を帯びている。(金 旻革)

 震災から8年を経た今年3月に全線開通した三陸鉄道リアス線などを視察しようと、防災学者の室崎益輝・兵庫県立大大学院教授(75)や阪神・淡路の復興まちづくりにかかわった小林郁雄・人と防災未来センター上級研究員(74)らの専門家たちと、「持続可能な開発目標(SDGs)」を研究する甲南女子大学生らが訪問。今月18日に同線で最も再開に時間がかかった釜石-宮古間の列車に乗り、被災地を見て回った。

 来月開幕するラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の試合会場の一つ「釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム」がある釜石市鵜住居地区。地区防災センターに避難した住民ら推定約200人が津波で命を落とした。低地で津波の避難場所ではなかったが、住民に避難場所との誤解が広まっていたことを、学生たちは現地で初めて知った。

 センター跡地は今春、犠牲者の銘板が刻まれた追悼施設「釜石祈りのパーク」となった。地元の男性(81)は学生たちに「車で逃げようとして亡くなった人も多い。とにかく足で逃げる。どこに逃げればいいか普段から考えてほしい」と語り掛けた。

 一行はその後、津波火災が発生し、町民の8%にあたる1286人が死亡・行方不明となった岩手県大槌町などを訪問。土地かさ上げ工事の長期化などから住民が戻らず、空き地が広がる光景を目の当たりにした。甲南女子大の3年生(20)は「減災につなげるために被災の記憶を共有しなければ」との思いを新たにした。

 室崎さんと小林さんは翌19日、震災で37人が犠牲になった同県北部の野田村の村役場で職員ら約30人を前に講演に臨んだ。同村は大阪大学と協定を結び、復興まちづくりを進めている。

 小林さんは、戦後の人口増加が長い歴史の中で特異だったことを挙げ「人口減少社会に合わせた社会運営が今どきのまちづくり」と述べた。室崎さんは阪神・淡路で注目された一人一人の人間の生活再建を目指す「人間復興」の観点を紹介。「地域の歴史や人、自然、外部とのつながりを生かした魅力づくりが重要になる。挑戦を続けてほしい」と呼び掛けた。

 村役場職員の男性(30)は「震災から立ち直ることに精いっぱいだったが、これからは村の発展を考えた取り組みが必要と感じた」と受け止めた。室崎さんは「復興の形に答えは一つでない。さまざまな災害の事例を知ることが大切。専門家として知り得た知見を被災地に還元していきたい」と語った。

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