未成年の防災士、各地で活躍 10年で20倍に

2020/01/09 15:00

ボーイスカウトの仲間たちに防災の大切さを説明する防災士の酒井牡丹さん(右)=神戸市東灘区

 阪神・淡路大震災を機に、2003年に創設された民間資格「防災士」。防災の知識や技能を持つ人材の養成が目的で、当初は行政職員や自主防災組織のメンバーが資格を取るケースが多かったが、近年、資格試験に合格する子どもや若者が増えている。震災から25年が経過し、各地域の自主防災組織の担い手が高齢化する中、次代の防災リーダーとして期待される。(佐藤健介) 関連ニュース イチロー「パンツ1枚で部屋から飛び出した」 神戸で被災の記憶、今も あの日食べたもの…大震災直後の食事 香川真司、原点は被災地で見たカズ

 防災士は、NPO法人日本防災士機構(東京)が制度化。資格取得に年齢制限はないが、同機構が認証した機関による研修講座の受講や、資格取得試験の合格、自治体や消防署などが行う救急救命講習への参加が必要となる。昨年12月末現在、全国で累計18万5249人が登録されている。
 同機構によると、9~19歳の資格取得者は08年度は83人(単年度)だったが、18年度は1552人(同)と、10年間で20倍近くに増えた。
 10代前半の“子ども防災士”も活動している。「災害で子どもが役に立てることはたくさんある」。昨年12月、神戸市東灘区。ボーイスカウトの集まりで、関西国際学園神戸校(神戸市灘区)初等部4年の酒井牡丹(ぼたん)さん(10)が、同年代の児童らに語り掛けた。
 同市東灘区は阪神・淡路で甚大な被害を受けた。地元の本山第一小学校では児童3人が犠牲に。避難所となった校舎に約2千人が身を寄せ、ボーイスカウトもトイレ掃除などを担った。
 酒井さんは画用紙の絵図を示しながら、「共助は『お互いに助け合う』という意味」「子どもへの心臓マッサージは、力が強すぎる大人より、子どもがしたほうがいい場合もある」などと伝えた。
 酒井さんは3年生だった18年秋から、県の「ひょうご防災リーダー講座」に参加。専門家の講義や倒壊家屋での救助体験、救命講習など約半年間のプログラムに臨んだ。子どもには難しい内容だったが、教材を読み込み、図上の避難訓練では班長として、高齢者や病気患者らを誘導する意見をまとめた。
 19年6月に10歳で資格を取得。「防災の大切さをたくさんの人に伝えるのが防災士の役割」と、学校でも下級生へのプレゼンテーションを買って出た。阪神・淡路で崩れた街並みの写真を示しながら「地震が起きたときに備え、家族と集合場所をあらかじめ決めておいて」などと呼び掛けた。
 学校や地域の青少年活動の場で、防災士を養成する動きもある。神戸市立科学技術高校(同市中央区)は18年から、資格試験に備えた授業を選択科目として導入している。
 元教員らの呼び掛けで昨年夏に設立された三木市の「みきジュニア防災クラブ」は、地域の小中高生が防災士を目指して活動。昨年9月には、豪雨で被災した佐賀県武雄市で泥かきなどのボランティア活動に取り組んだ。災害の多発を受け、各地で防災・減災や救急救命などを気軽に学べるイベントも増えている。

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