鉄筋コンクリートの5階建て建築物を揺らして、建物の変形や振動を弱める働きなどを評価する実験が19日、兵庫県三木市志染町の実大三次元震動破壊実験施設(E-ディフェンス)であった。建築物は、地震後に行政が災害対策本部として使う市役所などを想定。データは、建築構造の性能を評価する新たな基準づくりの検討材料になるという。
実験は国土交通省の建築基準整備促進事業の一環。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)や中部大(愛知県春日井市)などが共同で手掛けた。
実験では80%の縮尺(高さ16・4メートル)の建物に、建築基準法のベースとなる揺れの1・25倍の地震動を約1分間与えた。阪神・淡路大震災とほぼ同レベルの揺れという。
実験後の会見で、中部大の勅使川原正臣教授は、2階の変形が最も大きかったことがデータで示されたとし、「建物の変形が元に戻らなくなる起点を正確に推計できれば、建物の補修が可能かどうかや、どの程度の補修で使えるかなどが事前に読める」とみる。
これまでは部材ごとの変形などから建築物全体の変形をシミュレーションしていたが、実物大の加振実験でその精度が高まると期待される。(竹本拓也)
