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著書を持つ本岡典子さん=神戸新聞社(撮影・風斗雅博)
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著書を持つ本岡典子さん=神戸新聞社(撮影・風斗雅博)

 ノンフィクション作家の本岡典子さん(60)=加古川市出身=が「100歳夫婦力! 二人で始めるピンピン・キラリ」(中央公論新社)を出版した。90歳以上の夫婦を各地に訪ね、夫婦ともに元気に長生きする秘訣(ひけつ)を探った。そこで見えてきたのは、夫婦の生き方の物語だった。(森 信弘)

 中国清朝・愛新覚羅(あいしんかくら)一族の激動の人生を描いた「流転の子 最後の皇女・愛新覚羅〓生(こせい)」で知られる本岡さん。今回は、戦争の時代を生き抜いた計10組の夫婦を取り上げた。

 共通するのは楽天的で未来志向、そして自立していること。それぞれ互いを大事にし、妻は趣味など自分の世界を持つ。本岡さんは「どの夫婦も、夫が妻を束縛することがない」と強調する。

 姫路市の山名繁さん(95)と千代栄さん(92)もそんな夫婦だ。繁さんは製鉄会社を50代で定年退職。木工芸の道に入り「刳物(くりもの)師」の作家として今も活躍する。千代栄さんが30代で入院した際には、繁さんが献身的に支えた。どんなことも隠し事なく話し合える関係だという。

 本書で2人は長寿の秘訣として、「求める気持ちがあれば、すべてが『遅すぎる』ことはない」(繁さん)「家族に感謝して毎日幸せに生きる」(千代栄さん)などを挙げている。

 本岡さんが言う。「みなさん、何かをやり抜くという強い意志がある人が多い。支配欲や金銭欲とは無縁で、誰かのために命を使い切るような生き方をしている」

 登場する夫婦の仲自体は、結婚当初から良い。「それでも、壮年期には異性問題や大病など危機を迎え、それを機に別の夫婦に生まれ変わることに成功している」と、夫婦関係を築き直す「転婚」を勧める。女性には、夫をおだてて家事などで自立させるため「育爺(いくじい)」の必要性も説く。

 「みんなラブラブになりましょうという本ではない」と本岡さん。仲が悪いからといって離婚すると、女性は食生活が乱れることもある。「誰かといることで得ることはあると思う。自分で楽しみをつくるなど、ストレスを減らす工夫をしてみては」

 また、本岡さんが取材した健康長寿の秘訣を裏付ける専門家の分析やアドバイスも紹介。約5万人に追跡調査をした東北大大学院医学系研究科の辻一郎教授は、生きがいが「ない」人の死亡リスクは「ある」人の1・4倍と指摘する。緑茶が健康にもたらす効果や老化を防ぐ食材なども興味深い。

 実際には、結婚しない人や、伴侶と死別して生きる人も多い。本書の10組目は、亡くなった夫を心に抱いて生きる女性を取り上げた。夫婦だけではなく、他者との関係性を考えてほしかったという。「1人であっても1人じゃない。それぞれが自立し、かけ算によって健康長寿になる」

 すべての人に向けたメッセージだ。

 四六判、192ページ、1512円。

(注)〓は「樗」の「木」が「女」

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