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地下鉄大倉山駅に隣接する神戸文化ホール(左奥)=20日午前、神戸市中央区楠町4(撮影・笠原次郎)
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地下鉄大倉山駅に隣接する神戸文化ホール(左奥)=20日午前、神戸市中央区楠町4(撮影・笠原次郎)
砥石(といし)付きの車輪で火花を散らしながらレールを削る削正車(神戸市提供)
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砥石(といし)付きの車輪で火花を散らしながらレールを削る削正車(神戸市提供)
神戸新聞NEXT
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 「冷蔵庫のような音がする」「空耳やろ」…。神戸文化ホール(神戸市中央区)の中ホールで、そんな異音のうわさがささやかれていた。昨年の調査で、正体は近接する同市営地下鉄西神・山手線の振動と判明、市交通局の対応で解消した。中ホールは世界三大コンクールの一つ「神戸国際フルートコンクール」の審査会場にも使用される“殿堂”。第9回大会(5月25日~6月4日)を前に、主催者で同ホールを運営する神戸市民文化振興財団は「安心して出場者を迎えられる」と胸をなで下ろす。(松本寿美子)

 同ホールは1973年に開館した。その後、西神・山手線の名谷-新長田(77年)、新長田-大倉山(83年)、大倉山-新神戸(85年)の各区間が順次、開通した。

 ホールと地下鉄は、地図上でみると最短で約12メートルと近接している。中ホールの舞台の床と地下鉄ホームの天井とは5・5メートルほどの高低差しかない。

 同財団によると、舞台を使う演劇関係者らから数年前から異音の指摘があった。大ホールでは異常の報告はなかった。そこで昨年11月、財団常務理事の伊藤正さんらが調査し、中ホールの舞台に向かって左側から「冷蔵庫の電気音を低くしたような音」を確認。地下鉄の時刻表と照合すると、大倉山駅を電車が発着する際に聞こえ、地下鉄が“犯人”と分かった。

 「約5分間隔で10秒程度続く。遠く小さな音だが、気づくと気になる。『このままじゃいかん』となった」と伊藤さん。調査に立ち会った市交通局高速鉄道部施設管理課長の平山博さんは「ホール前を走る大型車の音は聞こえなかった。電車の走行音ではなく、地下鉄の振動がホールの建物に伝わっている」とにらんだ。

 振動の原因はレール表面が車輪との摩擦で波打つように削られる「波状摩耗」。年間0・数ミリ単位で削れるという。波形が大きくなるほど電車が振動して乗り心地が悪くなるため、職員が毎日乗車するなどして全線約22キロをチェック。摩耗が激しい箇所はレールを削って平らに戻す「削正(さくせい)車」で修繕している。

 大倉山駅周辺も3~5年に1度のペースで修繕。2016年度は西行きレール211メートル分が対象だったが、同財団の要望を受け、東行き187メートル分も前倒しで実施した。修繕後、関係者が「劇的に音がしなくなった」と驚くほど効果があった。

 中ホールは各種団体の利用があるほか、フルートコンクールでは厳しい予備審査を通った世界の俊英を迎える。同財団は「万全な態勢で開催したい」としている。

■各地の文化施設で“闘い”

 最適な鑑賞空間を提供するため、都市部のホールや劇場は、近接する鉄道や道路の騒音、振動と闘ってきた。

 一般的には、ホールと地下鉄などを一体化した建物とせずに切り離したり、距離を取ったりすることで振動・騒音源から物理的に離す対策があるが、密集する都市部では制約が多い。

 そこで「ホールの床や壁、天井に防振ゴムを設置する」と、竹中工務店で音響設計を担当し、現在は音響設計・コンサルティング業「音響デザイン研究所」(大阪市)を率いる荒木邦彦代表(65)は解説する。

 阪神・淡路大震災で被災後、1999年に再建された神戸・三宮の神戸国際会館は、2001年開通の同市営地下鉄海岸線と同時に施工。防振ゴムを用いることで、こくさいホールの防振・遮音対策をしている。大阪・日本橋の国立文楽劇場、神戸ハーバーランドの神戸新聞松方ホールでも、この対策法が採用された。

 神戸文化ホールのケースは、地下鉄がホール建設後に開通したため、レールを磨くことで対応したが、「レールの防振も数ある対策の一つ」と荒木さん。「体感で音が改善されたということは、数値にして3~5デシベルは下がっている。大きな効果」と評価している。

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