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新開地誕生の「古代神話」を紙芝居風に展示した一画=KAVC
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新開地誕生の「古代神話」を紙芝居風に展示した一画=KAVC
伝説の鳥カブークの足跡発見を伝える新聞記事。創作された虚構のニュースだ=KAVC
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伝説の鳥カブークの足跡発見を伝える新聞記事。創作された虚構のニュースだ=KAVC
「カチン石」のレプリカの横に立つ美術家伊達伸明さん
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「カチン石」のレプリカの横に立つ美術家伊達伸明さん

 アートの力で地域の魅力を再発見しようとの試みが各地で盛んだ。歴史や生活文化に光を当て、作品化する場合が多いが、神戸アートビレッジセンター(KAVC)=神戸市兵庫区=で開催中の「とりのゆめ」展は、あえて史実に基づかない架空の物語を創作し、KAVCの地元・新開地を豊かに“読み直そう”と企画された。過去と現在、現実と虚構を行き来する遊び心や、知的好奇心に満ちた異色の“考古・歴史展”だ。(堀井正純)

 美術家の伊達伸明さん=兵庫県宝塚市出身=と、建築家の榊原充大(みつひろ)さん、木村慎弥さん=明石市出身=が中心に企画・構成。古代、川の氾濫で土砂が堆積して生まれたとされる新開地一帯の誕生の物語を、神話として創作した。

 主人公は「不二なる宝」を生むとされる「カチン石」を地上へ届けるよう、「天の神」から使わされた伝説の渡り鳥「カブーク」。カチン石をめぐる「山の神」と「海の神」の争い、大水害などを盛り込んだ異なる二つの物語を紹介し、最後に壮大なオチがつく。「荒唐無稽(こうとうむけい)な民話や昔話の方が、史実よりも土地への親近感を抱かせることもある」とKAVCのスタッフ林正樹さんは狙いを語る。

 ユニークなのが「知らんけど考古術」と銘打った手法。確証のない古代の話を自由に空想し、イメージを広げて歴史を創作した。伝聞や推測を誇張し、面白おかしくしゃべった後、「知らんけど」と会話を締める関西独特の言い回しにヒントを得た。

 会場にはカチン石のレプリカや、古代神話が伝承、伝説化し生まれたという設定で文書、絵図、出土した古代遺物などを展示。カブークの足跡が発見され、調査が進む様子を伝える新聞記事も並ぶ。大半は創作による「虚構」だが、湊川の水害史など一部に史実も交え、新開地の今について再考させる。

 考古学や民俗学、自然史など学術的要素をちりばめる一方、ユーモア精神あふれる内容で、「みんなで真剣に遊んだ」と伊達さん。

 真実でない「フェイクニュース」も飛び交う今、情報をどう捉え、扱うかについて考えるきっかけにもなるだろう。よう知らんけど…。

 3月5日まで。火曜休館。入場無料。神戸高速「新開地駅」から徒歩約5分。KAVC TEL078・512・5500

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