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戯曲「檸檬の島」を書いた西史夏さん=宝塚市内
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戯曲「檸檬の島」を書いた西史夏さん=宝塚市内

 兵庫県宝塚市在住の劇作家、西史夏(ふみか)さん(41)が東日本大震災の被災者との出会いをきっかけに創作した戯曲「檸檬(れもん)の島」が、震災6年となるのを前に10日から東京で上演される。明日さえ見えないような東北の被災者の姿が、阪神・淡路大震災で同居の叔母を亡くして未来が描けなかったかつての自分と重なり、西さんは「たとえ自分が死んでも、未来は続いていく」とのメッセージを戯曲に込めた。(高田康夫)

 阪神・淡路では、西さんが住んでいた宝塚市の自宅が倒壊。両親や祖父母、母の妹の金岡順子さん=当時(39)=も生き埋めになった。自身は奇跡的に外に出られたため助けを求め、近所の人々が両親らを救出。だが、金岡さんは柱の下敷きになって亡くなった。

 明るく、ダイビングが趣味だった金岡さんは姉のような存在だった。その突然の死に、西さんは「自分も明日死ぬかもしれない。何もかも壊れてしまうかもしれない。自分の目の前にあった世界が信じられなくなってしまった」。

 2015年、東日本大震災4年後の仙台市を訪れた。被災者の生々しい話を聞き、阪神・淡路発生後の自分の苦しみと重なった。一方で阪神・淡路から20年が過ぎ、未来が続いていることに希望を見いだしてもいた。

 戯曲の舞台は、阪神・淡路から20年後の淡路島。地震による地割れで、太平洋戦争中に遺棄された毒薬のドラム缶が発見された-という想定だ。主人公は震災で母親を亡くした男性。特産のタマネギが売れなくなったため、父親が始めたレモンの栽培を引き継ぎ、ブランド果実として知られるようになるが、20年後もその毒薬の影響が主人公を悩ます。

 主人公と共にレモンを栽培してきた叔母は最終的に島を出ることを決断。一方で主人公は毒薬と向き合い、レモンを作り続けることを決意する。その様子は、東日本大震災による福島第1原発事故の影響に苦しむ福島県の人らと重なる。

 「日本で災害がない場所はない。人ごとじゃないんだと感じてもらえれば」と西さん。

 「檸檬の島」は、日本劇団協議会の「『日本の劇』戯曲賞2015」で最優秀賞に選ばれ、10~15日、東京都渋谷区の恵比寿・エコー劇場で上演される。一般前売り3千円、当日3500円。チケットは同協議会TEL03・5909・4600

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