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長尾和さんの素描と油絵を並べた展示=神戸ゆかりの美術館
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長尾和さんの素描と油絵を並べた展示=神戸ゆかりの美術館
「アカデミーバー」の壁と描いた画家を説明した展示
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「アカデミーバー」の壁と描いた画家を説明した展示

 「異人館の画家」として知られる小松益喜(ますき)さんら、神戸と縁のある芸術家の作品を紹介する「素描コレクション展~美しきリガ風景」が、神戸ゆかりの美術館(神戸市東灘区向洋町中2)で開かれている。創作前の下絵として描かれ、デッサンのようなイメージがある素描だが、もうひとつのアートとしての魅力を感じる奥深い作品が並ぶ。(ライター・加藤紀子)

 同館は小松さんの絵画を数多く所蔵。今回は、小松さんが1958年に初めて渡欧したときの作品や、ラトビア共和国の首都リガの街並みを描いた風景画などを紹介。初公開も多い。

 リガは「バルト海の真珠」と称される美しい港町で、中世からの建築物が残る旧市街地はユネスコの世界遺産に指定されている。74年、神戸市と姉妹都市提携を締結。小松さんがラトビアを訪れたのは、その翌年だった。

 「戦前から神戸の異人館を描いていた小松さんにとって、神戸から姿を消してしまった建築物や街並みが残るリガでのスケッチは、懐かしく、そしてうれしい創作活動だったのでは」と学芸員の金井紀子さんは推測する。

 「リーガ大聖堂」など観光名所だけでなく、細い石畳の路地から遠くに見える教会を描く。ありふれた街角から、現地の人たちの日常生活が感じられるような素描が多い。

 会場にはリガの旧市街地の地図も展示。小松さんが描いた12点の中で、場所が特定できたものについては、実際の建物や街並みの写真をあわせて紹介している。

 第2展示室では、神戸ゆかりのさまざまな画家の素描が鑑賞できる。興味深いのは、下絵としての素描と、その後描かれた油彩画を並べての展示だ。

 瀬戸内地方を多く描いた長尾和(かず)さんの「架橋の島かげ(エスキース)」は、瀬戸大橋の巨大な橋げたと、そのふもとの民家とを対比させている。すぐ横に展示してある同じ構図の「架橋の島かげ(与島)」では、重厚な油彩表現によって陰鬱な雰囲気が醸し出され、まるで島に打ち込まれた橋げたが十字架のように見える。

 26日まで。午前10時~午後5時(入館は同4時半まで)。月曜休館(ただし20日は開館、21日休館)。一般200円、小・中・高校生と65歳以上100円。六甲ライナーアイランドセンター駅すぐ。TEL078・858・1520

【フォーカスこの1点 時代の空気伝える壁画】

 第3展示室には、小磯良平さんや田村孝之介さんら16人の画家や詩人が、1950年ごろに寄せ描きをした壁画が展示されている。

 この壁画は、文化人のサロン的存在だった神戸・三宮の老舗「アカデミーバー」のもの。昨年、周辺地域の再開発のため建物が解体された際、店主がこの壁面を神戸市に寄贈した。およそ半年かけて保存修復作業を行った。

 1枚の壁に、同時代に活躍した画家たちの筆致が込められている貴重な絵画。また、当時のバーの雰囲気をも感じることができる。

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