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ルーベンスによる宗教画「十字架への道」(左端、ヨハネ・パウロ2世美術館蔵)などが並ぶ会場=姫路市立美術館
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ルーベンスによる宗教画「十字架への道」(左端、ヨハネ・パウロ2世美術館蔵)などが並ぶ会場=姫路市立美術館
劇的な明暗表現などで知られる、イタリアの巨匠カラバッジョの追随者による「聖ペテロの否認」=姫路市立美術館
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劇的な明暗表現などで知られる、イタリアの巨匠カラバッジョの追随者による「聖ペテロの否認」=姫路市立美術館

 17世紀ヨーロッパを席巻したバロック芸術。兵庫県姫路市の市立美術館(同市本町)で開催中の「バロックの巨匠たち」展は、16世紀末~18世紀初めの欧州各地の絵画をイタリア、オランダなど地域ごとに紹介する。巨匠レンブラント、ブリューゲルらの宗教画や神話画、肖像画、静物画など44点を展示。劇的で壮麗豊饒(ほうじょう)なバロックの時代精神や表現の多様さを伝える。(堀井正純)

 バロックはイタリアで誕生。絵画や建築、彫刻、音楽などに影響を及ぼした。語源は「ゆがんだ真珠」を意味するポルトガル語とされる。ルネサンス芸術やその規範とされたギリシャ・ローマ芸術が厳格端正で調和や均衡を重んじたのに対し、動的、劇的で豪壮華麗。過剰で誇張的な表現が、いびつ、奇異と否定的に捉えられた時代もあったが、今日では高い評価が定着している。

 宮下規久朗・神戸大教授は「静と動、光と影、聖と俗、生と死、理性と感情、信仰と科学といった相対立する要素が衝突、融合し、止揚されたダイナミックな美術」と特質を指摘する。

 バロック絵画誕生の立役者ともいえるのが、ローマで活躍したカラバッジョだ。徹底した写実と、光の効果を用いた劇的な明暗表現で、神秘的で崇高な宗教画を数多く制作。影響は欧州全土に波及した。今展には残念ながらカラバッジョ作品はないが、彼の追随者たちの絵が、その魅力の一端を教えてくれる。

 スペインの宮廷画家ベラスケスや、光と影の表現で内省的な世界を築いたオランダのレンブラントなど、バロック時代を代表する画家たちが各地で腕をふるった。会場の多くを占めるのはキリスト教美術だが、レンブラントの「襞(ひだ)襟を着けた女性の肖像」をはじめ、彼らの手になる印象的な肖像画や自画像も見どころ。

 そして、バロック美術最大の巨匠とも呼べるのが、フランドルで工房を構えたルーベンス。十字架を背負うイエスを描いた「十字架への道」は、豊かな色彩表現や群像表現、構図がみごとだ。彼の弟子バン・ダイクの宗教画なども展示。

 会場全体を包む、バロックの躍動感やエネルギーを感じられるだろう。

 28日まで。20日、27日を除く月曜と21日休館。一般千円、高校・大学生600円、小・中学生200円。JR、山電姫路駅から徒歩約20分。同館TEL079・222・2288

◇フォーカスこの1点 カラバッジョの追随者◇ 

 ポーランドのヨハネ・パウロ2世美術館が所蔵する油彩画「アブラハムの犠牲」は、旧約聖書に基づく宗教絵画。一人息子イサクを捧(ささげ)げ物にせよ、との神の声を聞いたアブラハムが、短剣でまさに息子を手に掛けようとする瞬間、天使に制止される場面を描く。

 絵の作者は不明だが、巨匠カラバッジョの筆になる、やや小ぶりでほぼ同じ図柄の絵がイタリアのウフィツィ美術館にあり、本作はそのオリジナルを基に制作されたと考えられる。カラバッジョの革新的な写実主義は、カラバジェスキと呼ばれる数多くの追随者、信奉者を生んだが、その一人が描いたものだ。

 恐怖におびえるイサクの顔や天使をにらむようなアブラハムの眼光が印象的だが、さらに注目すべきは、暗い背景から3人とヤギを浮かび上がらせる光の用い方。現実にはない、演劇的、映画的ともいえる明暗表現が、実にドラマチックな効果を上げており、原画の素晴らしさをいつか確かめてみたい、という気持ちにさせる。(純)

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