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新作の横に立つ中辻悦子さん=ギャラリーヤマキファインアート
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新作の横に立つ中辻悦子さん=ギャラリーヤマキファインアート

 「ひとのかたち」をテーマに長年制作を続ける美術家・中辻悦子さん(80)=兵庫県宝塚市=の個展が、神戸市中央区元町通3のギャラリーヤマキファインアートで開かれている。シンプルで明快な色と形による造形世界はカラフルで明るいイメージだが、「人形(ひとがた)」には時に謎めいた不気味さ、不思議なとらえどころなさも漂う。(堀井正純)

 堺市出身。絵本「よるのようちえん」などを手掛け、絵本作家としても知られる。前衛グループ「具体美術協会」の中心メンバーだった夫・元永(もとなが)定正さんを6年前に亡くし、一時は制作が滞りがちだったが、2年ほど前から創作への意欲を取り戻したという。

 個展は「記憶の残像-ひとのかたち」と題したアクリル画の連作を中心に構成。彩色した木片を組み合わせた立体アートの連作も含め、約30点を出品した。300号の大作など大半が新作。大画面の作品はユーモラスで迫力十分だ。

 動きの残像を表現しているのだろうか、赤い胴体に脚が目立つ「人形」の絵にはたくさんの脚が生え、回転しているよう。重なり合う人形は人々のふれあい、交流の象徴か。「赤はエネルギーのイメージ」と中辻さん。わずかな色数で「生命の躍動」を見事に示す。

 作品は色や形の要素をそぎ落としたグラフィックデザイン的な構成美も備え、シンプルさゆえに、鑑賞者の想像力を刺激する。“余白”が深読みを誘うのか、人形は時に奇妙なお化けのようにも見え、孤独や不安を感じさせることも。

 人形のルーツは、赤ん坊だった長男のために手作りしたぬいぐるみだ。「ポコピン」と名付けた布オブジェの人形は、頭と胴体が一体で細長くどこか呪術的。愛らしさと不思議さ、異様さが同居する。やがて布オブジェから、顔や目、人形をモチーフにした絵画へと移行。今回は「ポコピン」シリーズも3点、天井からぶら下げて展示し、近作とのつながり、連続性を教えてくれる。「ひとのかたち」は、よく知っているようでいて奥深い。

 5月6日まで。日・月曜休み。入場無料。同ギャラリーTEL078・391・1666

     ◇

 神戸市中央区下山手通4の兵庫県公館県政資料館でも、「中辻悦子展」を開催中。近作中心に13点を展示しているほか、夫・元永さんの抽象画3点も並ぶ。5月20日まで。日曜、祝日休み。入場無料。県公館TEL078・362・3823

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