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ドル記号のこて絵がついた蔵=養父市大屋町糸原
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ドル記号のこて絵がついた蔵=養父市大屋町糸原
養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
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養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
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養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
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養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)
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養父市内にあるこて絵(養父市教委提供)

 各地の土蔵の壁などにある立体的な紋章。実は家紋だけではないのをご存じだろうか。「こて絵」と呼ばれる装飾で、「水」「宝」といった漢字のほかに、えびすや鶴亀など縁起の良い図案もある。火難よけや招福などの願いが込められており、中には「ドル記号」がついた蔵も。多様性に満ちたこて絵の世界をのぞいてみませんか。(那谷享平)

 こて絵は、こてを使って土を盛り上げるなどして、しっくいの壁に装飾を施す技法。江戸から大正にかけて全国に広がったとされる。兵庫県教育委員会文化財課によると、県内では養父市のほか姫路市や三木市などで確認できる一方、神戸・阪神間では空襲や阪神・淡路大震災、都市開発などでほとんど失われたという。

 養父市では大屋町に多く残る。合併前の旧4町の町史で、唯一こて絵の記述がある「大屋町史」は、18ページを割いて絵柄や系統を分析。使う文字は「水」が最多で「龍(りゅう)」「寿」「寶(宝)」と続く。絵柄も雲や波、動植物に扇と多彩な上、装飾の種類には町内でも地域色があるようだ。

 同市大屋町糸原にある蔵の壁には、直径約40センチの円の中に「$」が描かれている。中の財産が増えるよう縁起を担いだとみられ、同市教育委員会社会教育課は「『宝』ではありきたりなので採用したのでは」と推測する。

 「幼い頃からあった」と話すのは近くの男性(84)。蔵は地区で所有し、農機具などをしまっているという。取材中、男性の妻(80)が「そんなんあったっけ?」と席を立った。数分後、感心した様子で戻ると「おしゃれなことしなったもんやなあ。みんなも気付いているか聞いてみよ」。

 あなたの町でも珍しい図柄のこて絵が見つかるかも。

■静岡には美術館も

 こて絵は、左官職人が注文主への感謝の気持ちなどを込めて、家や土蔵の壁に施したものとされる。各地のしっくい塗り建物で確認できるが、兵庫県内では体系的な研究はほとんどされていないという。

 同県教育委員会文化財課によると、一般的にしっくいが多いのは流通の要衝や産業の拠点などで、建築装飾としてのこて絵は、その土地の活発な経済活動を反映している可能性があるという。

 半面、「地域差もあり、全県的な傾向を見いだせるか疑問。あくまで装飾の一形態で研究の切り口が難しい」と同課。兵庫県の歴史上で名高い職人がいない点も研究対象にしにくい理由という。

 一方、こて絵の研究や顕彰が盛んなのが静岡県だ。「伊豆の長八美術館」(同県松崎町)では、幕末から明治期に活躍した同町出身の左官職人、入江長八のこて絵を多数展示する。同館によると、長八の登場でこて絵は芸術としても認知されるようになったという。同美術館は毎年、こて絵の出来を競う「全国漆喰鏝絵(しっくいこてえ)コンクール」を開いており、各地から応募がある。ただ、過去17回で兵庫県からの入賞は1回という。

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