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著書を手に取材の裏側を語る田浦紀子さん(左)と高坂史章さん=京都市中京区、京都国際マンガミュージアム
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著書を手に取材の裏側を語る田浦紀子さん(左)と高坂史章さん=京都市中京区、京都国際マンガミュージアム

 宝塚で育った漫画の神様・手塚治虫氏(1928~89年)を巡る同級生らの証言録「親友が語る手塚治虫の少年時代」が出版された。

 編著者は、長年の手塚ファンで、阪神間のゆかりの地を紹介する「虫マップ」の作者田浦紀子さん(38)=大阪府吹田市=と弟の高坂史章さん(36)=兵庫県西宮市。

 代表作「鉄腕アトム」でアトム誕生の年とされる2003年、手塚氏の生誕地の大阪府豊中市で開かれたイベントの企画に関わり、大阪府池田師範付属小学校(現・大阪教育大学付属池田小学校)や府立北野中学校(現・北野高校)時代の同級生、きょうだいから少年時代の記憶を聞いた。

 その後、同高同窓会主催の講演会でも友人たちの知られざる思い出に触れ、「世に知られる“手塚伝説”ではなく、証言をそのまま記録したい」と、出版企画を温めていた。

 登場するのは、小学校の6年間を共に過ごした大森俊祐さん▽中学時代に昆虫採集の手ほどきを受けた林久男さん▽中学の美術部仲間の岡原進さん▽勤労動員先が同じだった金津博直さん▽弟・浩さんと妹・美奈子さん-ら。元担当編集者やアシスタントにもコラムやインタビューを依頼した。

 手塚漫画のキャラクター「アセチレン・ランプ」や「ママー」などのモデルが明かされ、手書きの研究誌を発行するほどの昆虫少年ぶりや、勤労動員先の大阪石綿でも漫画を描いていた姿が語られる。高坂さんが大阪石綿の場所や工場配置図を調べ上げ、自伝的作品「紙の砦(とりで)」の描写と比較するなど、講演内容を裏付ける資料も掲載。既刊本に未掲載の学級写真など貴重な図版も多い。

 京都国際マンガミュージアムでの発刊記念トークショーには、岡原さんがゲスト参加。教育雑誌のカメラマンとして取材したときの「耕されていない荒れ地を歩くのが好き」という言葉を披露し、「本当に彼はこういう人だった」と戦後の漫画やアニメの道を切り開いた人柄をしのんだ。

 田浦さんは「これまでにない、少年時代を掘り下げた本を作ることができた。記録として残すことで、手塚治虫を未来まで生き続けさせることができれば」と話した。

      ◇

 和泉書院刊。A5判、184ページ。1890円。(田中真治)

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