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「天職? どうでしょう。お客さんが決めること」と話す吉田和生さん=大阪市中央区、国立文楽劇場
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「天職? どうでしょう。お客さんが決めること」と話す吉田和生さん=大阪市中央区、国立文楽劇場

 兵庫県芦屋市在住で、人間国宝に認定されることになった人形浄瑠璃文楽の人形遣い、吉田和生さん(69)。この道に入り半世紀、派手さはないが人物の内面を深く掘り下げた表現と品格ある芸風で女形から立役までを演じてきた。「一人でこつこつやる職人に憧れていたが、真逆の世界で50年。人生は思い通りにならない」。記者会見ではユーモアたっぷりに喜びを語った。

 愛媛県出身。高校卒業後、徳島県の文楽人形師、故・大江巳之助さんを訪ねたことがきっかけで1967年、吉田文雀さんに入門。翌年に初舞台を踏んだ。

 師匠の文雀さんは人間国宝で、文楽界きっての理論派として知られた。その死から1年足らず。師の跡を継ぐように人間国宝に選ばれることになった。「正直戸惑っている。墓前に報告したが『おまえで大丈夫か』と言われてるんちゃうかな」。謙虚で飾らない人柄そのままに、穏やかな口調でそう話す。

 1体の人形を3人で操る人形遣い。顔と右手を操る「主遣い」になるまで最低25年ともいわれる長い下積みがある。「道を誤ったかなと思う日もあった。苦しい仕事にも辛抱できたのはお客さまの拍手があったから。本当に感謝です」

 数ある舞台で思い出深いのは、2004年に「妹背山女庭訓」の久我之助役を演じた東京公演。中日を過ぎたころ、師匠が「きのう浅草で買ってきた」と言って初めて帯を贈ってくれた。「『よくやっている』とは言われませんでしたが、師匠なりの及第点ということだった」と振り返る。会見にはその帯を締めて臨んだ。

 博識で文楽の生き字引と言われた師匠の後任として、公演の各役にどの人形を使うかを決める「かしら割委員」の重責も15年から担う。師匠が地元の阪神間で取り組んできた公演や普及活動も尽力する。

 「文楽への恩返しにもう一踏ん張り。技量を落とすことなく次世代につながなければ」と力を込めた。(松本寿美子)

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