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山田風太郎さんがデビュー前に書いたとみられるメモ=山田風太郎記念館
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山田風太郎さんがデビュー前に書いたとみられるメモ=山田風太郎記念館

 忍法帖シリーズなどで知られる兵庫県養父市出身の作家、山田風太郎さん(1922~2001年)が、医学生時代に小説の構想やアイデアを記したとみられる多数のメモが、山田風太郎記念館(養父市)の保管資料から見つかった。山田さんの作品の原点をうかがい知ることができる貴重な資料で、同館で28日から始まる企画展で一部を初公開する。

 山田さんは東京医科大学在学中の1947年、医学の知識を生かした推理小説「達磨峠の事件」が雑誌に掲載され、作家デビュー。「忍者もの」や明治時代を舞台にした作品など、さまざまなジャンルの著作を世に出した。

 今回見つかったのは「小説腹案集(2)」と題した数十ページ分のメモ。小説の題名や筋書きの素案に番号を付けて列挙しており、判明分だけで129番まである。山田さんの家族が同館に寄贈した大量の創作ノートなどに紛れていた。最初期作品の構想も含まれていることなどから、デビュー前に書いたとみられる。

 テーマは、怪談や戦国武将、東京医科大学の歴史など多岐にわたり、後に発表された作品に関する表現も。山田さんは1946年の日記に「歴史小説、科学小説、諷刺小説、現代小説、腹案は山ほどあり」と記しており、これを裏付ける内容だ。同館は「山田さんが早熟の作家で、幅広い小説を書く下地を既に持っていた」と読み解く。

 多彩な小説の構想を練る一方、ミステリーや怪談などで作家としてのキャリアを切り開こうと作風を研究していた様子もうかがえる。最初期の怪談小説「雪女」に関するメモでは「怪談が理に落ちては駄目なり。(泉)鏡花の怪異凄艶を含みつつ、四谷怪談、牡丹燈籠の恐怖を學ぶを要す。人間の本性の弱点を把握し必ず之を戦慄せしむる怪談創造」とあった。

 山田さんを研究する作家で歌人の有本倶子さん=養父市=は「授業料も工面できず悩んでいた頃、自力で食べていくため多くの本を読み、創作を模索していたのでは」と分析。「山田さんは生前、『小説家になろうなんて思っていなかった』と話したが、あれはうそだったのかも」と笑う。

 同館は今後、専門家による調査も依頼したいという。同館TEL079・663・5522

(那谷享平)

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