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手塚ワールド全開の会場=神戸ゆかりの美術館
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手塚ワールド全開の会場=神戸ゆかりの美術館

 「マンガの神様」と呼ばれた手塚治虫さん(1928~89年)の軌跡をたどる「手塚治虫展」(神戸新聞社など主催)が、神戸ゆかりの美術館(神戸市東灘区向洋町中2)で開かれている。代表作の「火の鳥」や「ブラック・ジャック」などの原画や絵コンテをはじめ、作品に登場する「神戸」に焦点をあてたコーナーもある。会場全体から、生涯第一線で創作し続けた巨匠の情熱や迫力が伝わってくる。(ライター・加藤紀子)

 手塚プロダクションの協力で原画、映像、資料などおよそ150点を展示。幼少期の写真やトレードマークともいえるベレー帽、愛用の筆記用具も並んでいる。

 宝塚で過ごした小学生時代に描いた漫画の複製や、中学生時代の昆虫標本の写生は、早くから非凡な才能の片りんを見せていたことを感じる。幼いころの写真や、手塚さんが残した文章も紹介。一人の人間としての手塚治虫の姿が身近に感じられる。

 岡泰正館長は「漫画に映画的構図を取り入れたのが手塚さん。日本漫画の古典であり、今日の漫画の原点」と説明する。ストーリー構成や登場人物の設定、セリフを書き込むネームの入れ方など、手塚漫画のメイキングを紹介する展示は、創作の舞台裏を知ることができて興味深い。

 漫画の原稿料を投入して、情熱を傾けた「鉄腕アトム」などのアニメーションでは、手書きの絵コンテやセル画を展示。几帳面に一つ一つの場面設定を書き込んでおり、制作現場の熱気が伝わる。

 見どころの一つは、神戸に住むドイツ人のパン職人ら、3人のアドルフの人生が交錯する作品「アドルフに告ぐ」の直筆原稿48点。残された作品の中から、神戸・北野の異人館、有馬温泉などが描かれている場面を選んで展示している。風見鶏の館や萌黄(もえぎ)の館といった異人館の資料写真もあり、作品に描かれたシーンと照らし合わせてみることができる。

 岡館長は「神戸・阪神間の土地勘や雰囲気を知っている手塚さんならではの作品。自らの戦争体験もあり、この作品には総括的な思いがあったのではないか。女性の表情は何度も修正しながら描いており、微妙な表情を仕上げるまでの試行錯誤の跡も見られる」と分析する。

 今回の展覧会は、来館者の滞在時間が長いのも特徴。「戦争は決してしてはいけない」との強い思いを発信し、「人間とは何か」「生命とは何か」を問い続けた手塚さんの原画には、すごみのあるメッセージが詰まっているのだろう。

 8月31日まで。月曜休館。一般千円、大学生750円、高校生550円、小・中学生400円。六甲ライナーアイランドセンター駅からすぐ。TEL078・858・1520

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