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「カテイ石鹸」の宣伝映画の一場面
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「カテイ石鹸」の宣伝映画の一場面

 神戸発祥の化粧品メーカー「中山太陽堂」(現クラブコスメチックス)が大正時代に発売した「カテイ石鹸(せっけん)」の宣伝映画が、神戸映画資料館(神戸市長田区)で見つかった。約1分30秒のアニメーションを使った作品で、日本アニメの先駆者・北山清太郎が製作した可能性も指摘されている。(田中真治)

 フィルムは、コダック製の35ミリプリントで、ピンクや黄色に染色。売り出し日を告知する字幕のほか、フランスの画家ルブランの「母と子」の図像に「カテイ石鹸商標」とペンで書き添える過程がアニメで表現されている。

 同資料館は、約1万6千本の収蔵フィルムの活用に向けて、橋本英治・神戸芸術工科大教授(映像学)の協力で、高精細な4Kデジタル映像化に着手。今年6月から作業を進める過程で内容が判明した。

 クラブコスメチックス文化資料室によると、カテイ石鹸は1920(大正9)年1月に発売。「宣伝のチラシやポスターは保存されているが、映画が作られたことは知られておらず、貴重な発見」と福田理恵子学芸員は話す。

 中山太陽堂はクラブ歯磨(はみがき)など「クラブ」ブランドの化粧品で知られていたが、「クラブ石鹸」は神戸の会社が商標登録していた。このため、カテイ石鹸はクラブ歯磨をおまけに付けて売り出し、製造元を周知したという。発掘されたフィルムでも「三月十五日より/カテイ石鹸お買い上げの方には/クラブ歯磨無代進呈」と売り出しを案内する。

 21年11月に商標を買い取り、23年10月からクラブ石鹸を発売しているため、福田学芸員は「フィルムは20~23年のものでは」と推定。22年3月15日付の東北地方の新聞各紙に、同様の売り出し広告が掲載されていることを確認した。神戸映画資料館の安井喜雄館長によると、フィルムの製造年記号は21年で、広告時期と一致する。

 「宣伝映画の研究は未開拓だが、現存する最初期の作品かもしれない」と橋本教授。「当時の新聞や雑誌の調査から、公開日や上映館など詳細が明らかになれば」と期待する。

【中山太陽堂】山口県出身の中山太一が1903(明治36)年、神戸・花隈で創業。「クラブ」の商標と「双美人」のマークで、おしろいやクリームなど化粧品を販売。読み物仕立ての新聞・雑誌広告、日本初のアドバルーンや飛行機からのチラシ散布といった宣伝戦略は「クラブ式広告」と評判を取った。雑誌「苦楽」「女性」を発行したプラトン社や、中山文化研究所の設立など幅広い文化活動でも注目を集めた。

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