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アムステルダムでの展示「日本の宗教」コーナーの再現。当時の雑誌の木版挿絵に基づく=国立民族学博物館
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アムステルダムでの展示「日本の宗教」コーナーの再現。当時の雑誌の木版挿絵に基づく=国立民族学博物館
城崎の麦わら細工など幅広いコレクションが並ぶ=国立民族学博物館
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城崎の麦わら細工など幅広いコレクションが並ぶ=国立民族学博物館

 2度の来日で蘭学者を育て、西洋に日本学の礎を築いた博物学者フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(1796~1866年)。国立民族学博物館(大阪府吹田市)で開催中の特別展「よみがえれ! シーボルトの日本博物館」は近年の大規模調査に基づき、知られざる日本コレクションの展示活動を再現する。

 シーボルトは23年に長崎・出島のオランダ商館医となり、出島の外の鳴滝に設けた学塾で医学や科学を講義。約7年の滞在中、門人を通じて収集した日本の文物はオランダ政府が買い上げ、ライデン国立民族学博物館に受け継がれた。

 今回里帰りしたのは、59~62年の再来日時の収集品で、アムステルダム、故郷の独ビュルツブルク、ミュンヘンで展示後、バイエルン政府が購入。現在はミュンヘン五大陸博物館が保管するが、「2度目の収集ということで軽視されていた」(日高薫・国立歴史民俗博物館教授)といい、国内外の研究機関チームが約6千点の全調査を進めてきた。

 主にミュンヘンでの展示を、当時の「目録」に従い約200件で再構成。書画などの学術資料と工芸・産業製品に大別し、素材や用途別に分類する陳列の流れを浮かび上がらせている。

 漆工品は、ライデンの所蔵品より種類が多く、高級品から実用品までを含み、「幅広い収集で日本の全体像を伝えようとした方針を示す」と日高教授。陶磁器も人気の高い有田焼だけでなく、淡路の●平(みんぺい)焼や三田焼、篠山の王地山焼などに及ぶ。多様な産地の品が流通する江戸に、幕府顧問として滞在したことが、収集に役立ったとみられる。

 シーボルトは35年以降、民族学博物館の草案をバイエルン国王やオランダ国王に提出。しかも、異文化を正確に伝え、偏見を廃するという考えを示していた。現代に通じる民族学博物館の理念が、「日本博物館」の再現から感じ取ることができる点も意義深い。

 子孫に伝わる遺品調査の成果もある。「シーボルト事件」で没収された日本地図の写しは新出資料。初公開の「鳴滝塾」の模型も、シーボルト自筆解説文の発見から、明らかになった。研究の進展を反映した充実した内容で、見どころが多い。

 10月10日まで。水曜休館。一般830円。国立民族学博物館TEL06・6876・2151(田中真治)

(注)●は「王」の右に「民」

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