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新聞連載を終え、インタビューに答える湊かなえさん=洲本市内
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新聞連載を終え、インタビューに答える湊かなえさん=洲本市内

 「イヤミスの女王」が手掛けた初の新聞小説は、少年のさわやかな成長物語だった。本紙朝刊で、8月末まで7カ月にわたって連載された湊かなえさんの小説「ブロードキャスト」。挫折と出会い、いじめと挑戦。そして、迷い…。中学から高校、陸上部から放送部へと舞台を変えて進む物語は、放送コンクールの全国大会を目指す主人公を通して、頑張ることの気持ちよさを思い出させてくれた。連載を終えた湊さんに、感想や近況、今後の活動について聞いた。(聞き手・西井由比子)

 -初の新聞連載だった。

 「ストックを50話つくって臨みましたが、気がつけば15話くらいしか残っていないことも。自宅で神戸新聞を取っているので毎朝チェックするんですが、通し番号を見るのはひやひやしました。新聞小説は細切れ。明日の展開に期待を持たせるよう構成しましたし、今日の話から読んでもついていけるよう意識しました。これって誰だっけ、とか、どういうことだっけ、とか、読者はさかのぼって読めないので、ちょこちょこ補足を入れています」

 「主人公は、中学生から高校生に。ちょうど、新聞と同じスピードで時を進めました。放送部の活動はあまり知られていないと思いますが、これを読んで放送部に入った子がいればいいなと思いますね」

 -湊さんは淡路島在住。島内の学校がモデル?

 「モデルは特にありません。ただ、淡路では放送部の活動がさかんで、全国大会出場のニュースが神戸新聞でもよく取りあげられています。私は普段、取材は特にせずに自分の経験に基づいて書くんですが、今回はNHKの放送コンクールを見に行きました。準決勝に地元・津名高校がテレビドキュメント部門で残っていて、うれしかったですね。どういう内容にすれば次に進めるのか、登場人物と同じように考えながら見ました。結局は、今つくりたいものをつくるのが一番いいものに仕上がるのかな…とか」

 -主人公の圭祐は、湊さんの娘と同い年。

 「娘が学校でどんな様子なのかよく分かりませんが、自分が高校生だったころとそんなに変わらないんじゃないかなと思ったり、当時はケイタイ、スマホがなかったので私には気付けない部分もあるんだろうなと思ったり。(作中、会員制交流サイト=SNS=を扱うので)知りたいところではあるものの、スマホを見るわけにもいかず、多分こういう感じなんだろうと思いながら書きました」

 「10代の子、特に部活を頑張っている子は、今のことへの思いが強いあまり、無理したり、結果を出せないことにひどく傷ついたりする。いじめもそうですが、それがすべてじゃない、次があるんだ、ということを示したかった。作中では、陸上部の先生が悪者になって『次』につなげています」

 -今年、デビュー10周年を迎えた。

 「デビュー作からたくさんの人に読んでもらえました。仕事の依頼もたくさんあり、デビュー直後に5年分くらい仕事が埋まって一つずつ片付けていくようにしていたら、10年たっていました。今、10周年記念の全国47都道府県サイン会ツアーを続けています。城崎文芸館では、私を特集した企画展が始まりました」

 「年内に仕上げないといけない書き下ろしに追われる日々。子どもの貧困問題をテーマにしたミステリー仕立ての作品で、1年以上、書いては戻り、を繰り返しています。おかげで、主婦業はもう…」

 -次のステージは。シリーズものへの期待もある。

 「案外、ブロードキャストが初のシリーズものになるんじゃないかと思います。ミステリーといえば探偵ですが、探偵ものにすると、出来事はヒトゴトになってしまう。私は、出来事の渦中の一番真ん中にいる人のことを書きたい。ブロードキャストでは、圭祐が自分でドキュメントを作るところまで持って行きたかったんですが、そこまでは行けなかった。でも、何を作るかはもう決めているんです。圭祐が書く脚本もできているので、続編として出したいですね」

▽みなと・かなえ 1973年広島県・因島生まれ。武庫川女子大卒。「聖職者」で2007年、小説推理新人賞を受賞。その後「告白」で本屋大賞、「ユートピア」で山本周五郎賞を受けた。多くの作品が映像化されている。兵庫洲本市在住。

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