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PACの第100回定期演奏会。現在までのメンバー229人中、海外出身者は28カ国116人に上り、国際色も豊かだ=西宮市高松町
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PACの第100回定期演奏会。現在までのメンバー229人中、海外出身者は28カ国116人に上り、国際色も豊かだ=西宮市高松町

 阪神・淡路大震災からの心の復興を掲げ、2005年に開館した兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)の専属オーケストラ「兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)」が第100回定期演奏会(6~8日)を迎えている。芸術監督を務める世界的指揮者、佐渡裕さん(56)の下で各国の若手奏者が腕を磨き、多い時には8割を超える席が定期会員で埋まる人気ぶり。クラシック文化を着実に育んでいる。(松本寿美子)

 同センターで6日、開幕した第100回定期演奏会。20世紀ロシアの作曲家プロコフィエフによるバレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲などが、ヨエル・レヴィの指揮でダイナミックに奏でられ、PACの節目を華やかに飾った。

 兵庫県宝塚市の夫婦は11年間、定期会員の大ファン。大阪のオーケストラ(オケ)の公演にも足を運ぶが、「PACは躍動的でエネルギーと緊張感に満ち、毎回の変化が新鮮。演目もバラエティーに富んでいる」と魅力を語る。

 人気は数字にも表れる。毎年9月からの1シーズンに定期演奏会は計9回あり、大ホール(2千席)で1回につき金曜-日曜日の3公演がある。計6千席に対し、9回の通し券「定期会員券」が占める割合は、今季は73・4%。開館10周年だった15~16シーズンは最多の83・1%だった。在阪のオケでは通常5割に届けばいい方とされ、関係者は「驚異的」とする。

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 PACは教育機関の「アカデミー」の要素を持つ世界的にも珍しいオケだ。楽団員48人の在籍期間は「最長3年」と定められ、国内外から将来有望な35歳未満の若手をオーディションで選んで育てる。年額360万円が支給され、公演にゲストで招かれる一流奏者から指導を受ける。希望者は宝塚市の防音室付きマンションに格安家賃で住める。

 終身雇用が原則のオケと比べ、メンバーが若く数年で入れ替わるPACの特徴は演奏面でマイナスになりそうだが、大阪音楽大学理事長の中村孝義名誉教授(69)は「演奏能力が他のプロオケより落ちるとは思わない」と実力を高く評価。「世界からいい指揮者、コーチ陣を呼んできて本番を3回も重ねていることが大きい」と分析する。「成功するように環境を整えたことが要因。この面白い試みをこのまま続けてほしい」

 さらに関係者が注目するのが、聴衆の雰囲気だ。「リラックスして楽しんでいる。すごくいい」

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 世界一のお客さんを創る-。佐渡さんの信念の下、予算は県費約4億円など計7億円をかけ、PACは県民に身近なオケを目指してきた。定期会員券は最も高いA席で2万7千円。定演1回分に換算すると3千円だ。ばら売りでも4千円で、自治体の支援がない在阪オケと比べると格段に安く、訪れやすい。

 来場者アンケートによると客層は50~70代が中心。昨季の定期会員のうち、西宮市など阪神間に住む人は50・1%、神戸市内は20・4%。リピーター率は約8割だった。日本オーケストラ連盟(東京)の名倉真紀さん(47)は「劇場とオケが一体になった広報やアウトリーチ(普及活動)が行き届き、地元で愛されているのが分かる」とする。

 PACは「培ってきたコーチングのノウハウや人脈を生かし、よりステップアップさせていきたい」と今後を見据える。

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