文化

  • 印刷
35年にわたって平尾誠二さんを撮り続けたカメラマン岡村啓嗣さん。「彼の魅力をぜひ感じてもらいたい」と話す=神戸新聞社(撮影・三浦拓也)
拡大
35年にわたって平尾誠二さんを撮り続けたカメラマン岡村啓嗣さん。「彼の魅力をぜひ感じてもらいたい」と話す=神戸新聞社(撮影・三浦拓也)
2014年元日の神戸新聞朝刊に掲載された平尾誠二さんと山中伸弥・京都大教授の対談時のワンカット。息の合った掛け合いが印象的だった=13年11月27日、京大iPS細胞研究所
拡大
2014年元日の神戸新聞朝刊に掲載された平尾誠二さんと山中伸弥・京都大教授の対談時のワンカット。息の合った掛け合いが印象的だった=13年11月27日、京大iPS細胞研究所

 昨年10月に53歳の若さで亡くなったラグビー元日本代表監督の平尾誠二さんをしのぶ写真展が、大阪市の書店で14日から開かれる。撮影したのは、35年にわたって平尾さんを見詰め続けたカメラマン岡村啓嗣(ひろつぐ)さん=東京都。展示作品約30点は希望者に販売し、収益は平尾さんと親交の深かった山中伸弥京都大教授が所長を務める京大iPS細胞研究所に寄付する。岡村さんは「人々の心に少しでも『平尾誠二』が残ってくれればうれしい」と話す。(小森準平)

 岡村さんと平尾さんの出会いは、平尾さんが同志社大1年生だった1982年の東京・国立競技場。全国大学ラグビー選手権の準決勝で敗れて悔しがる平尾さんの姿に強い印象を受けた。

 第一印象は「オオカミの目をしている」。その後、膝の大けがでリハビリに励む平尾さんに3カ月間密着した。創造性あふれる思考や人柄に触れ、「この人物の10年後を見たい、今を記録しておいた方がいい、と強く思った」と振り返る。

 平尾さんは同大卒業後、英国留学を経て神戸製鋼に入社。日本選手権7連覇など輝かしい足跡を残した。選手としてリーダーとして世界を飛び回る平尾さんに同行し、撮影を重ねた。阪神・淡路大震災でチームが大きな被害を受けたり、日本代表監督を志半ばで辞任したりと“逆風”もあったが「愚痴や弱音を聞いたことは一度もない」という。

 岡村さんは人物写真が専門。将棋の谷川浩司九段や羽生善治棋聖はともに15歳から、バレエダンサーの熊川哲也さんも17歳の頃から撮った。共通するのは「戦闘意欲の高い目と、笑顔がいいこと」。2007年から旅に同行する仕事で8年間撮影した作家村上春樹さんにも当てはまるという。

 一方、平尾さんと山中教授は10年、岡村さんが仲立ちして雑誌で対談。同学年だったことや、山中教授も神戸大でラグビー部に所属していたことなどもあり意気投合し、酒席やゴルフを通じて信頼関係を深めた。山中教授は12年にノーベル医学生理学賞を受賞。14年元日付の本紙朝刊には2人の対談が掲載された。

 平尾さんに胆管がんが見つかり亡くなるまでの約1年間、治療方針の助言や病床への見舞いなど、山中教授は献身的に支え続けた。今回、その2人の「友情」が記された書籍の出版に合わせ、岡村さんは撮りためた写真の展示を決めた。

 「平尾は10歳年下だが、器の大きな男だった。ぜひその魅力を感じてほしい」と岡村さん。写真の販売と収益の寄付については「2人の絆の強さをあらためて感じ、こうすることが一番いいと思った」と語った。

     ◇

 写真展は紀伊國屋書店のグランフロント大阪店(午前10時~午後9時)で30日まで。展示作品の購入希望者(価格は写真パネル大が3万円、小が2万円)は会場などで申し込み、後日、郵送で受け取る。

◇平尾さんの闘病山中教授が本に◇

 家族以外にはほとんど知られていなかった平尾誠二さんの闘病生活。献身的に支えた山中伸弥京都大教授との深い結びつきが刻まれた「友情」(講談社、税別1300円)がこのほど出版された。山中教授と平尾さん・妻恵子さんの共著という形式で、サブタイトルは「平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」。

 山中さんや恵子さんの目を通して平尾さんの闘病の様子が赤裸々に描かれているほか、過去の対談なども収められた。山中教授は「なんの利害関係もなく、一緒にいて心から楽しいと感じられる人と巡り会えた僕は幸せでした」などと惜別の思いをつづっている。

文化の最新
もっと見る

天気(10月20日)

  • 20℃
  • ---℃
  • 20%

  • 20℃
  • ---℃
  • 10%

  • 19℃
  • ---℃
  • 40%

  • 20℃
  • ---℃
  • 40%

お知らせ