幻の逸品100年ぶりの全貌 国宝、重文含む110件展示 神戸市立博物館で特別展「よみがえる川崎美術館」

2022/10/27 10:30

狩野孝信「牧馬図屏風」(桃山~江戸時代、個人蔵、通期展示)=神戸市立博物館(撮影・中西大二)

 神戸で1890(明治23)年に設けられた日本初の私立美術館の全貌を伝える特別展「よみがえる川崎美術館-川崎正蔵(しょうぞう)が守り伝えた美への招待-」(神戸新聞社など主催、川崎重工業特別協賛)が、神戸市立博物館(同市中央区)で開催中だ。国宝2件、重要文化財5件、重要美術品4件を含む美術品と資料の計約110件が並ぶ。短期間で展示替えとなる逸品もあり、見逃さず鑑賞したい。(小林伸哉) 関連ニュース イニエスタさん、神戸でアカデミー生と交流 ボール回しやゲーム子どもらと一緒に「楽しみにしていた」 兵庫県内のマンション発売戸数、2カ月連続増 投資用マンションが全体押し上げ 11月 兵庫県内、北部中心に積雪 20日朝も冷え込み続く 昨季は暖冬、スキー場「今年こそは」各地でオープンへ


 川崎美術館は川崎造船所(現・川崎重工業)や神戸新聞社の創業者川崎正蔵(1837~1912年)が、今のJR新神戸駅近くに開設。1924(大正13)年まで館蔵品展を14回開いたが、千数百点とされるコレクションは散逸し、建物も残っていない。本展では、旧蔵品が約100年ぶりに神戸で一堂に会する。

■前半の見どころ
 重要文化財の伝顔輝(がんき)「寒山拾得(かんざんじっとく)図」(元時代)は、不敵な笑みを浮かべ、まるで観客の心中を見透かすよう。かつて織田信長も所蔵、川崎が夜に香をたきながら愛玩し、命に次いで大切にしたと伝わる。11月13日まで。「孔雀明王像」(重要文化財、平安時代)も同日まで、文成外史(ぶんせいがいし)「放牛図」(同、室町時代)は11月6日まで飾る。

■後半も優品続々
 11月15日からは、国宝の伝銭舜挙(せんしゅんきょ)「宮女(きゅうじょ)図(伝桓野王(かんやおう)図)」(元時代)を披露する。男装姿の女官で、指先に見入る物憂げな表情、美しい立ち姿に引き込まれる。
 さらに、奈良・興福寺での祈雨の修法のために描かれた「最勝曼荼羅(さいしょうまんだら)」(1444年)=11月1日から▽重要文化財の伝夏珪(かけい)「風雨山水図」(南宋時代)=11月8日から▽葛飾北斎が晩年に描いた「渡船山水図」(1847年)=同▽禅僧の慧能(えのう)が出家の意思を固めた瞬間を描いた国宝、直翁(ちょくおう)「六祖挟担(ろくそきょうたん)図」(南宋時代)=11月22日から-が並ぶ。いずれも会期末まで。

■通期展示から
 かつての陳列品目録を基に、円山応挙の「海辺老松(かいへんろうしょう)図襖」(1787年)などふすま絵28面を飾って往年の川崎美術館の展示空間3室をよみがえらせた。
 川崎の愛蔵品で明治天皇の神戸行幸(1902年)で用立てられ「名誉の屏風」と呼ばれた伝狩野孝信(かのうたかのぶ)「桐鳳凰(きりほうおう)図屏風」(重要美術品)も紹介。狩野孝信「牧馬(ぼくば)図屏風」(桃山~江戸時代)は、約400年前に描かれたとは思えない鮮やかさが目を引く。
 重要文化財の康円(こうえん)「広目天眷属像(こうもくてんけんぞくぞう)」(1267年)は動き出しそうな力強さがある。
 12月4日まで。月曜休館。一般当日1600円ほか。神戸市立博物館TEL078・391・0035

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