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 3年ぶりの歓声が響いた。3月下旬、宝塚ガーデンフィールズ跡地。阪急電鉄から土地を取得した宝塚市が、閉園以来初めて一般に開放した。市民ら約800人が訪れ、往時を懐かしんだ。

 かつて宝塚ファミリーランドがあり、街の「顔」だった場所だ。年間200万人以上が訪れた時代もあったが、来場者の低迷などで2003年に閉園。後継のガーデンフィールズも13年に撤退した。

 約3ヘクタールの跡地は集合住宅や店舗などの開発構想が持ち上がり、市は危機感を募らせた。

 周辺は阪神・淡路大震災後、タワーマンションが林立。温泉街も震災を機に廃業が相次ぎ、景色は一変した。

 「ファミリーランドの面影が唯一残された、宝塚の原風景。市が買わなければマンションが建ってしまう」

 市は阪急電鉄と交渉を重ね、約1ヘクタールを約15億円で取得。「文化芸術施設」の建設を打ち出した。主なターゲットは市民で、ギャラリーや活動、創造、交流スペースなどを備えた施設を建設する。総事業費は約35億円。うち4割は国の補助金で賄う計画だ。

 「これまでは、市民が創造的な活動をする拠点がなかった。文化が薫る街というのが、市のブランドにもなっている」。市幹部が意義を強調する。

 さらに、宝塚大劇場や手塚治虫記念館、宝塚文化創造館など周辺施設との相乗効果も期待する。ファミリーランド閉園後、観光客数が減少しており、市全体で年間1千万人超だったのが、800万人台での推移が続く。

 箱モノの設計が決まっても、具体的な「中身」がはっきりと見えない。開業後は年間約9千万円の赤字が見込まれ、予算を可決した市議会からも批判が相次いだ。市幹部OBは「トップは在任の証しに箱モノを造りたがるが、10年、20年後に施設がどうなっているかを考えなければならない」と苦言を呈する。

 市立施設の多くが苦戦する。例えば1994年オープンの手塚治虫記念館。近年は外国人観光客を取り込むが、年間約4千万円の赤字だ。45億円をかけて02年に開業した宝塚温泉(現ナチュールスパ宝塚)は、オープンわずか1年半で運営の第三セクターが営業を打ち切り、現在は指定管理となっている。

 阪急が撤退した街の玄関口。新たな「顔」にふさわしい施設になるか、それとも負の遺産となるのか。計画の見直しを訴える立候補予定者もおり、新市長の手腕が問われる。

    ◇

 9日告示、16日投開票の宝塚市長選。現職を含めて3人が立候補を表明しており、激戦が予想される。選挙戦を前に街の課題を振り返りたい。(土井秀人)

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