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あぜ板とネットを組み合わせた道具。カラスがごみ袋を引っ張り出しにくいため、伊丹市で広く取り入れられている(同市提供)
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あぜ板とネットを組み合わせた道具。カラスがごみ袋を引っ張り出しにくいため、伊丹市で広く取り入れられている(同市提供)
ごみを荒らすカラス。ついばんだり、袋に上ったり、“わが物顔”で振る舞う=尼崎市内(同市提供)
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ごみを荒らすカラス。ついばんだり、袋に上ったり、“わが物顔”で振る舞う=尼崎市内(同市提供)

 朝、ごみステーションを通りかかると、ビニール袋が破られ、周囲には生魚や野菜くず、紙くず…。領収書の紙片まで散らばり、目を覆いたくなる。電線の上では、数羽がカァー、カァー。また、やられた。カラスにごみ袋を荒らされる被害は一向になくならない。ごみ袋にネットをかぶせていても、硬いくちばしで、編み目や地面との隙間から抜き出してしまう。行政も対策に乗り出すが、効果は今ひとつ。ヒトとカラスの知略戦の行方は?(初鹿野俊)

 7月下旬、燃えるごみ収集日の朝。兵庫県西宮市内のごみステーションを巡ってみた。甲子園町では総菜や飲料のパック、ティッシュ、ビニール袋などが歩道いっぱいに広がっている。車道にはズタズタになった黒いごみ袋。路線バスが避けるように運行していた。姿こそ見えなかったが、「カァー、カァー」とあざ笑うような鳴き声が聞こえる。

 「燃えるごみの日の朝のはこの状態。この1年は特にひどい」と近所のサンドイッチ店の店主(54)は諦め顔だ。付近は自転車で駅に向かうサラリーマンや学生らが行き交う。「ごみが広がって、通行も危ない。何とかならへんもんか」。

 2013年度の西宮市民意識調査によると、生活の中でカラスによる何らかの被害を受けたことがある人は約7割に達していた。

 そのうち58%が「ごみの散乱」を挙げ、「鳴き声がうるさい」(28%)「人への攻撃」(10%)などを抑えて断トツに多かった。尼崎市でも、カラスが絡むごみの相談が年間80~130件前後寄せられているという。

 各自治体は独自対策を講じている。宝塚市では10年以上前から、網にカプサイシンを含んだ「辛み成分入りネット」を貸し出しているが、担当者は「被害はまだまだ多い」。西宮市は昨年から、鷹匠を招きタカを飛ばしてカラスを追い払う試みを始めたが、効果は一時的。コスト面でも継続は難しい。

 効果があった取り組みもある。伊丹市では、田んぼと農道を間仕切るあぜ板と、ネットを組み合わせた道具の活用を提案する。ごみ袋を外に引っ張り出すのが難しい構造となり、地面とネットの隙間も小さい。効果てきめんで、今では約1700のステーションが導入。市から無償で借りられるのも利点だ。

 市民はどう考えているのだろうか。西宮市の東町2丁目自治会は、かつてカラスの被害に頭を悩ませていたが、現在は減少傾向にあるという。会長の酒井教雄さん(77)は「自治会として特別な対策はしていない」ときっぱり。被害の相談に来るステーションの管理者には、ネットの端をごみ袋の下に潜りこませるのを徹底させる▽ネットに穴が空けば、こまめに補修する-といった助言をするぐらい。「特効薬はない。みんなが地道にルールを守り続けることでしか被害は減らない」。重い言葉だ。

 ■カラスの生態に詳しい東京大学の松原始特任准教授(動物行動学)の話

 カラスは肉類や油物、甘い物などのカロリーが高い物が好き。普段は木の実や昆虫、小動物を食べるが、人間が出す残飯はごちそう。ごみを荒らすのは全国的な問題だ。

 視力は人間よりもはるかに良いが、嗅覚は弱く、臭いで餌を探すことはない。辛み成分の入ったネットがごみ袋に掛かっていても、カラスは網を交わしてごみをつつくし、臭いで避けることもない。

 タカを飛ばすのも効果は一瞬だけでは。タカが来ると逃げるというより、大騒ぎして挑んでいく。タカにかなわないことは分かっているので、攻撃はしないが、しばらくは興奮状態になり、餌どころではなくなり、ごみ袋からは離れていく。でも「タカがいるからあそこはやめよう」とはならず、また戻ってくる。東京で言えば、タカの繁殖地である明治神宮と、カラスのねぐらがある代々木公園は隣接している。

 ごみ被害の対策は、カラスに触らせないこと。長さ7~8センチのくちばしが届かないようにする。ごみにバケツや目の細かいネットをかぶせるとか、フェンスを張って近づかせないようにするとか。地味だが、そういった方法でしか解決できない。

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