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りんとした歌声でデビュー曲を歌い上げる井上明子さん=西宮市鳴尾町3、なるお会館
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りんとした歌声でデビュー曲を歌い上げる井上明子さん=西宮市鳴尾町3、なるお会館

 兵庫県西宮市内で1996年から歌唱塾を開く作曲家の井上明子さん(83)が11日、同市で開かれた塾の音楽祭で歌手デビューを果たした。教え子ら約200人が見守る中、オリジナル曲「懐かしのセレナーデ」を披露すると、会場からは惜しみない拍手が送られた。(竜門和諒)

 井上さんが歌手を志したのは小学5年の時。終戦直後、焼け野原に建てられた盆踊りの舞台で復興音頭を歌ったことがきっかけだった。母子家庭で貧しかったため、欲しかったピアノが手に入らず、紙に書いた鍵盤で練習していたという。

 音楽学校への進学も諦め、歌手への夢を心にしまったまま就職。しかし「音楽で地域に溶け込む」を信条に、公民館などで歌唱ボランティアを続けた。50歳の時、甲状腺がんを患い大手通信会社を退職。声が出にくくなったため、歌唱から作詞・作曲へと転身した。

 そのさなか、阪神・淡路大震災が起きた。半壊した自宅マンションを飛び出し、市内の避難所で被災者らの手を取った。共に童謡や唱歌を口ずさむうち、うつむいていた人も最後には笑顔で見送ってくれるなど、「音楽で生きる力を与えられる」と確信。「新鳴尾音頭」など地域の復興応援歌3曲を作った。

 昨年、高校時代の初恋相手と60年以上の時を経て再会した井上さん。井上さんの初恋のエピソードを聞いた知人の歌手が「懐かしのセレナーデ」を作詞。気に入った井上さんが自ら曲を付け、来年にCDを発売することが決まった。

 これに先立ち音楽祭では、塾生らのほか、元タカラジェンヌの榛名由梨さんも井上さんの門出を祝福。ステージ上の井上さんは体を左右に揺らしてデビュー曲を伸びやかに歌い上げた。

 教え子らから花束を受け取った井上さんは「皆のおかげで幼い頃の夢がかない本当に幸せ。声が出る限り歌い続けたい」と笑顔で話した。

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