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携帯ゲーム機。いつも一緒の相棒
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携帯ゲーム機。いつも一緒の相棒

 高校生の遥香が児童養護施設「尼崎学園」(神戸市北区)に帰ってきた。門限の午後7時を大きく過ぎていた。職員が叱る。「遅くなるなら連絡しといで」。二つ折りの携帯電話は持たせてある。遥香が言い返した。「ガラケーなんて恥ずかしくて友達の前で出されへん」

 尼学では子どものスマートフォン所有を認めていない。有害サイトへのアクセスや気付かないうちの課金などのリスクがあるからだ。実際、パソコン上の「出会い系サイト」でトラブルになったことや、携帯電話の1カ月の料金が10万円近くに上ったこともあった。責任、負担はすべて、親権者代理の施設長が負う。

 一方、こんな数字がある。97・5%。兵庫県が調査した高校生のスマホ所有率だ。「社会に出る時は一人。何も知らないとトラブルに対応できない」と入学時に持たせる児童養護施設もある。子どもたちにとって何が最善か。手探りが続く。

 ある日の尼学のグラウンド。バスケットゴールに向かい、大和がシュートを練習していた。中学でバスケ部に入り、今春進学した高校でも入部した。少しの間で肩周りががっしり。技術は上達し、新しい仲間もできた。毎日が楽しい。ただ一点、「スマホないから困るわ」。

 部員同士の連絡はもっぱら、スマホ上でやり取りするアプリの「LINE(ライン)」。中学時代もそうだった。練習時間の変更を知らず、一人で待ち続けたこともあった。友達が話題にするスマホゲームもよく分からない。

 「今は、しゃあないけどな」。自分に言い聞かせるように、小遣いで買った携帯型ゲーム機のスイッチを入れた。

(文中仮名)

(記事は岡西篤志、土井秀人、小谷千穂、写真は風斗雅博が担当しました)

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