1938(昭和13)年7月5日に阪神間で甚大な被害をもたらした「阪神大水害」を、小説「細雪」のシーンと関わらせて紹介する写真展が、兵庫県芦屋市伊勢町の谷崎潤一郎記念館で開かれている。小説で描かれる水害のシーンに沿って写真や映像が並べられ、当時の惨状をよりリアルに感じさせる。
国土交通省近畿地方整備局六甲砂防事務所によると、38年7月3~5日に降り続いた雨により川の氾濫や土砂崩れが発生。現在の芦屋市で27人▽西宮市で6人▽神戸市で662人-と計695人の死傷者・行方不明者を出したとされる。家屋被害も約12万戸に上ったという。
同館によると、細雪を書いた作家の谷崎潤一郎(1886~1965年)は大水害の発生時、神戸市東灘区(当時の武庫郡住吉村)に住んでいたといい、ストーリーには谷崎が調べた水害の被害状況が細かにつづられている。
会場には、水害の発生から夏を迎えるまでの小説の描写を記したパネルと、写真計18点が組み合わせて並べられる。写真は、業平橋を越えて流れる激流や、土砂流入を防ぐために土のうを積む人々の様子を克明に捉えている。また、被害を記した谷崎直筆の手紙などの資料も展示されている。
17日まで。午前10時~午後5時(17日は午後3時まで)。入館料は一般400円、高校・大学生300円、中学生以下は無料。同館TEL0797・23・5852
(風斗雅博)
