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ボートレース尼崎で、多幸焼を販売する大庄東婦人会の(左から)池田小夜子さん、広瀬かつ美会長、前田波江さんの3人=尼崎市水明町
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ボートレース尼崎で、多幸焼を販売する大庄東婦人会の(左から)池田小夜子さん、広瀬かつ美会長、前田波江さんの3人=尼崎市水明町
外はカリッと、中はふわふわ。味付けされたこんにゃくが入る多幸焼
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外はカリッと、中はふわふわ。味付けされたこんにゃくが入る多幸焼

 兵庫県尼崎市水明町のボートレース尼崎で1952(昭和27)年のオープン当初から、地元の婦人会がタコが入っていない「たこ焼き」を販売している。その名も“多幸焼”。1舟100円ながらも、外はカリッと中はふわふわの食感と味は常連らから好評で、競艇場の名物。店の売り上げは地域の奉仕活動に充てられる。愛されて66年。名前の通り、多くの幸せを呼ぶ逸品として長く親しまれる。(小谷千穂)

 競艇場の敷地内にある売店で、地元住民約600人が所属する大庄東婦人会が経営する。ボートを意識して木舟に六つの多幸焼が乗る。ソースが付いたカリカリの表面と、桜エビがふんわり香る生地が特徴で、中には炊いて味付けされたこんにゃくが入る。「タコじゃなくて『多くなる幸せ』やからね」。店頭で、活動歴30年の池田小夜子元会長(75)が念を押す。

 人気は根強く、お昼の時間を過ぎても客は途絶えない。「来たら必ず食べる。安くておいしいし、ここでしか食べられない」と西宮市の男性会社員(48)。婦人会の役員ら3人が店を回し、多い時は1日約千舟、閑散期でも400舟が完売する。

 店が始まったのは66年前。競艇場を運営する尼崎市が、売店を手掛ける婦人会を募り、大庄東婦人会も手を挙げた。当初は実際にタコを入れていたが、冷蔵庫の設備が整っておらず、衛生面を心配してこんにゃくを採用した。最盛期は12人が店に立ち、月100万円を売り上げたという。

 多幸焼での収益は、家賃や人件費などの経費を引いて、全て地域に還元される。小学生に入学記念品を贈るほか、消防団や老人会、神社に助成金を出したり、交流イベントを開いたり。競艇場自体の集客が落ち込むと、多幸焼の売り上げも下がる一方だが、今も幅広く地元への還元を図る。

 広瀬かつ美会長(75)は「婦人会を守るためにも頑張りたい」といい、「楽しくてやりがいもあって、自分の幸せも多くなるしね」と笑顔を浮かべた。

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