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難聴と向き合いながら武術を極める井上欽太さん=神戸市東灘区田中町5
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難聴と向き合いながら武術を極める井上欽太さん=神戸市東灘区田中町5

 生まれつきの難聴がある兵庫県立尼崎工業高校2年の井上欽太さん(17)=西宮市=が武道の世界で活躍している。取り組むのは、武術太極拳の「南拳」。井上さんは見てまねることが得意で、インターネットの動画を見てプロの動きを身に付けて上達した。「南拳のおかげで、難聴でもやれるんだと自信になった」と話し、全国大会で優勝するなど輝かしい成績を収めている。(小谷千穂)

 2人兄弟の長男として生まれた井上さんは、3歳になっても言葉を発さず、難聴と診断された。最初に手話を覚え、かすかに聞こえる左耳に補聴器を付けて特訓し、会話ができるようになった。ただ、大人数や雑音の多い場所では聞き取りに不安が残るという。

 県立こばと聴覚特別支援学校の幼稚部を出た後、地元の香櫨園小学校、浜脇中学校に進んだ。元々動き回るのが好きだったため、小学1年から地域のサッカークラブに所属した。個人技は伸ばしたが、グラウンドで仲間の声が聞こえずチームプレーが難しく、コーチの指示通りにプレーできないなど、試合では苦しんだという。

 武術の道に進んだのは、小学4年で体験した小中学生向けカンフー体操教室がきっかけ。先に太極拳を習っていた母の芳美さん(47)が誘った。全身を動かし、型を覚えて披露する武術に、井上さんは「1人で向き合えて、自分の好きなように動ける。かっこいいし自分に合っている」と魅力を感じたという。

 小学6年で武術団体「SCWP(スコープ)」(神戸市東灘区)に入門。武術太極拳には太極拳と南拳、長拳の3種類がある。選んだ南拳は、最も力強い技が必要とされるが、持ち合わせた運動神経と惜しみない練習量でめきめき成長した。

 昨年7月、年齢制限のない全日本選手権の男子規定難度南拳で優勝し、昨年度の県スポーツ優秀選手賞を受けた。今年8月には大阪府八尾市であった国際大会で2位に入るなど活躍の場を広げ、西日本ジュニア指定強化選手に選ばれた。スコープの品川仁志代表は「集中力がすごい。基本動作の質も高く、世界と勝負できる選手」と絶賛する。

 指導者が見せる手本や世界のトップ選手の動画を研究し、再現することを重視し、「『見ること』が僕にとって一番大事」と話す井上さん。分からないことはとことん聞き返し、相手の意図を理解しようとする努力も怠らない。将来は「南拳の歴史に名を残したい」と胸を張った。

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