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観客で埋まった阪急西宮スタジアム=1986年3月、阪急電鉄提供
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観客で埋まった阪急西宮スタジアム=1986年3月、阪急電鉄提供
阪急西宮スタジアムの名残をとどめるホームベース。阪急ブレーブスグッズと写真に納まる林茂治さん=西宮市高松町、阪急西宮ガーデンズ
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阪急西宮スタジアムの名残をとどめるホームベース。阪急ブレーブスグッズと写真に納まる林茂治さん=西宮市高松町、阪急西宮ガーデンズ
阪神・淡路大震災前の阪急西宮北口駅周辺=1987年、西宮市提供
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阪神・淡路大震災前の阪急西宮北口駅周辺=1987年、西宮市提供

 民間調査会社の「関西で住みたい街ランキング」で7年連続1位に輝く阪急西宮北口駅(兵庫県西宮市)。人気をけん引する商業施設「阪急西宮ガーデンズ」の土地に、17年前までプロ野球「阪急ブレーブス」の本拠地、阪急西宮スタジアムがあったことは忘れられつつある。周辺は阪神・淡路大震災で壊滅的な被害を受けたが復興し、誰もが憧れる町になった。町の中心にあったスタジアムでの思い出は、今も地元の人たちの心に深く残る。(斉藤絵美)

 西宮ガーデンズ4階屋外のスカイガーデン。スタジアムのホームベースがあった場所に、本塁形のモニュメントが埋め込まれている。ここに球場があったことを伝える数少ない目印だ。

 「観覧席の傾斜が工夫されていて、とても見やすい球場でね」

 そう懐かしむのは、近くで生花店を営む林茂治さん(77)=西宮市。幼い頃からブレーブスファン。阪急電鉄社員だった約60年前、西宮スタジアムの調理師として、選手や球団関係者らが利用する専用レストランで、食事を提供した。

 ブレーブスの前身、大阪阪急野球協会は1936(昭和11)年に発足。サブマリン山田久志投手や速球派の山口高志投手、盗塁王の福本豊選手らを擁し、75年に初の日本一に。翌76、77年も巨人を倒し、日本シリーズ3連覇を果たした。

 スター選手を輩出しながらも、「強いのになぜか人気がない。弱いのに人気がある甲子園の阪神タイガースとは正反対。球場におるファンを数えたら150人くらいしかおらんかった」と林さんは笑う。選手たちは試合前に食堂を利用することが多かったせいか、人気だったのは麺類。三冠王に輝いたブーマーはうどんを好んで食べたという。

 4万人を収容できるスタジアムでは、競輪やコンサートなども行われた。しかし昭和の最後、88(昭和63)年秋に突然オリエント・リース(現オリックス)への球団譲渡が決定。ブレーブスは消滅した。

 7年後の1995(平成7)年には、阪神・淡路大震災がこの町を襲った。市場が軒を連ね、古い木造家屋が密集していたスタジアム周辺は、壊滅的な被害を受けた。家屋が倒壊し、多くの死者を出した。復興のため、区画整理と再開発事業が行われ、道は広くなり、町並みは見違えるほどきれいになった。

 町の復興を見届けるように、2002(同14)年にスタジアムは閉鎖。08年、跡地に阪急西宮ガーデンズがオープンした。

 林さんは調理師を辞めた後、阪急を退社。阪神西宮駅前で生花店を始めたが、震災後は西宮北口に店を移した。「やっぱりここが好きやから。球場がなくなってさみしさもあるけど、球場がなくなったから良くなったとも思う」。スタジアムがあった町で、今日も店頭に立つ。

【こぼれ話】平成の31年間に姿を消した施設や時代を象徴する阪神間の場所を読者に募ると、阪急西宮北口駅周辺や阪急西宮スタジアムの思い出が相次いで寄せられた。

 「平成でキタグチは大きく変わってしまいました」とメールをくれたのは、団体職員の板倉康行さん(49)=西宮市。板倉さんによると、生粋の「宮っ子」は、西宮北口を「ニシキタ」ではなく、「キタグチ」と呼ぶという。

 阪急ブレーブスのファン。小学生のころ「阪急ブレーブスこども会」に入会。「野球は好きではなかったが、クラスの友達の大半が入っていた」と板倉さん。球場近くのスイミングスクールに通い、親と一緒にスーパー「ニチイ」や市場で買い物を楽しんだ。

 「関西で住みたい街」と評される西宮北口。町の魅力は「西宮ガーデンズでも高層マンションでもない。山と川と海に囲まれた、素朴で、大阪と神戸の真ん中で関西の魅力を存分に呼吸できるところ」と話す。

 また、伊丹市の中学教諭、山口泰二さん(62)は平成の思い出の場に、西宮スタジアムを挙げる。「球団譲渡で神戸や大阪に拠点が移り、ブレーブスの栄光と共にスタジアムも消え去ったのはファンとして非常に残念」と話す。町がきれいになっても球場がなくなったことで、「西宮北口に出ることは減った」と山口さん。町並みの記憶も薄らいできているという。

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