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日本児童文学者協会賞を受賞した著書「むこう岸」と安田夏菜さん=川西市役所
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日本児童文学者協会賞を受賞した著書「むこう岸」と安田夏菜さん=川西市役所

 児童文学などの優れた単行本を表彰する本年度の「日本児童文学者協会賞」に、兵庫県川西市在住の作家安田夏菜さん(57)の著作「むこう岸」が選ばれた。中学生の男女の視点で貧困、格差社会を見つめた意欲作。大病を乗り越え、単行本10冊目でつかんだ栄誉に「びっくりした。光栄」と喜んでいる。(伊丹昭史)

 安田さんは同県西宮市生まれ。20代で短編童話などを書き始め、育児が落ち着いた2007年には初の単行本出版を果たしたが、直後の08年に乳がんが発覚した。闘病を通じ「人間には時間が限られている。私にできることは書くこと」と一念発起。文章などの錬磨を重ね、ファンタジーや落語などをテーマに児童文学作品を執筆している。

 同協会賞は1961年度に始まり、早船ちよさんの「キューポラのある街」、上野瞭さんの「ひげよ、さらば」などが選ばれている。

 「むこう岸」は有名進学校で落ちこぼれ、公立中学校に転校してきた少年と、生活保護を受けて暮らす少女の物語。反目し合う2人が立ちはだかる貧困を前にできることを探る中、それぞれの光を見つけていく。

 安田さんは、貧しさで高校に行けないと思い込んでいる女子中学生について新聞で読み「貧困の中の子どもは誰にも相談できず、ひっそり絶望しているのでは」と執筆を決意。感情移入しすぎないよう取材は控え、関連書籍を読み込んで人物像などを作り上げた。

 「貧困の人とお金持ちの協力はファンタジーと言われるかもしれないが、児童書の作家は理想を示すことが大事。子どもに元気になってほしい。『この世は生きるに値する』ということはずっと書いていきたい」と話した。講談社、1512円。

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