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「避難場所や必要な備蓄もケアプランに盛り込んでいきたい」と話す尼崎市ケアマネジャー協会会長の北村浩子さん=尼崎市
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「避難場所や必要な備蓄もケアプランに盛り込んでいきたい」と話す尼崎市ケアマネジャー協会会長の北村浩子さん=尼崎市

 阪神間に強風と高潮をもたらした台風21号の甚大な被害から、4日で丸1年となる。飛来物が電線に接触するなどして、兵庫県尼崎市内を中心に阪神間の至る所で長期間、停電も続いた。介護を必要とする人や、情報が遮断された独居の高齢者など「災害弱者」と呼ばれる人たちは、暗闇の中で不安な時間を過ごし、課題を残した。(斉藤絵美)

 昨年9月4日、長引く停電で、身体障害とそううつの症状がある尼崎市の女性(54)は不安感が強くなったという。いつもより言葉がきつくなり、時折パニック状態に。自宅で女性を介護する夫(61)は「テレビが付かない、固定電話がつながらない、携帯電話は充電が切れる。情報が全く入ってこない。2日間の停電がぎりぎりの限界だった」と振り返る。

 同じく同市の「要介護5」の男性(70)は電動の介護用ベッドが停電で起き上がらなくなり、妻(71)に体位を変えてもらったという。男性は「妻は膝が悪く外出できない。助けも呼べない。もし、ベッドを起こした状態で停電していたら、どうすることもできなかったと思う」と話す。「電気がこなくなったらもう終わりですわ」と漏らした。

 この2家族の介護を支援する尼崎市ケアマネジャー協会会長の北村浩子さん(58)は「災害に遭うのは平等でも、被害は不平等。高齢者や障害者にとって、暗さは健常者よりも負担になる」と話す。人工呼吸器を装着している寝たきりの高齢女性は、予備のバッテリーは持っていたものの長時間の停電をしのげず、看護師と連携し、市内の病院に受け入れを打診。自宅の停電が解消する翌朝まで入院してもらったという。

 高層住宅はエレベーターが停止し、飲料水を各戸に送り出すポンプが機能せず多くの世帯で断水になった。団地の10階に暮らす独居の高齢者が孤立してしまい、ケアマネジャーが階段を使って食料を運んだ。

 「これほど長期間停電が続いたのは初めてで、問題が多発した。どこに情報を聞いたらいいのか分からないという声も多く聞いた」と北村さん。こうした事例を踏まえ、同協会は今年2月、災害対策委員会を立ち上げた。災害時にケアマネジャーが担当家族以外にも安否を確認できるよう、横のつながりを強化するという。

 尼崎市西長洲町3の特別養護老人ホーム「西長洲荘」の主任介護支援専門員、粟野真造さん(59)は、昨年6月の大阪府北部地震や昨年9月の台風21号を経験した介護支援施設など約300施設を対象に、アンケートを行った。

 停電で困ったことを尋ねると、「たんの吸引器が使えなくなった」「熱中症になりかけた」など生命に関わりかねない状態に置かれていたことが浮き彫りとなった。また「暗く不安の中で過ごし、認知症が急に進行した」など、停電の復旧後も影響が続く症状の記入もあった。

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